2017 Fiscal Year Annual Research Report
Hindering factors of nursery school teacher's career
Project/Area Number |
25380875
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
坂井 敬子 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (90607665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 睦 (夏堀睦) 常葉大学, 保育学部, 教授 (60434536)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 保育士 / 離職・退職 / キャリア発達 / 保育士業務 / 保育行政 / 職場定着 / 昇進 / 業務困難感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,退職保育者と園内の関係者へのインタビューと,それを基にした質問紙調査から,保育士のキャリア形成阻害要因として下記の知見を得た。 (1)退職保育者の語りから得られた知見(分析対象19件):下記①~③が退職決定に関わる要因であるとの仮説を得た。①「業務困難感」。「保育士」の業務は多岐にわたるが,「能力が足りない」「時間が足りない」ことで,業務の困難感が生じる。②「昇進忌避」。主任~園長へと,昇進するにしたがって責任も大きくなり業務の質も大きく変わることが不安をもたらす。③子育てや介護といった「家庭状況と仕事との両立困難」。上記①や②を背景としつつ,家庭内での役割負担を強く感じる。 (2)退職保育者の上司や同僚の語りから得られた知見(分析対象21件):退職には,「辞めて欲しくないけれど仕方がない」ものと,「その人は仕事ができないけれど辞めることにも共感できない」ものとの2種が存在。特に後者では,セルフ・マネジメント能力(仕事の優先順位を見極め時間管理能力を高め,意欲や義務感がよりよくコントロールできること)が足りないためで生じたと考えられた。 (3)上記(1)の仮説を検証する質問紙調査(全分析対象1854件):ここでは,公立正規職の回答から得られたもののみを挙げる。働くことそのものや保育職を辞めたいという意思を予測しうる業務困難感は,園やクラスの企画・事務であった。また,昇進を希望しないことも辞めたいという意思を予測し得ることが示された(以上,分析対象780件)。また,辞めたいという意思は,グループ休暇等の制度や正規雇用増といった働きやすさの施策への評価を高める一方で,教育やコミュニケーション,ならびに,設備等の拡充への施策への評価を低めていた(以上,分析対象819-888件)。 以上の知見により,業務内容の合理化,正規雇用者の増加,待遇の改善の必要があるとの提言を行った。
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