2016 Fiscal Year Research-status Report
心理臨床家と伝統工芸職人の専門的経験の世代継承性に関する発達臨床心理学的研究
Project/Area Number |
25380880
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡本 祐子 広島大学, 教育学研究科, 教授 (90213991)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 世代継承性 / 専門家アイデンティティ / 生涯発達 / ライフストーリー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究Ⅱ: 心理臨床家の専門的アイデンティティの生成と世代継承のプロセスを事例研究によって考察した。鑪幹八郎氏を対象に、30時間余にわたる個人面接を実施した(語り手:鑪幹八郎, 聴き手:岡本祐子・山本力)。アイデンティティの原点としての家族・母親体験・父親体験、歴史的真実としての戦争体験の影響、青年期の「育ち」からの脱却とアイデンティティ形成、精神分析家になるための訓練とプロフェッショナル・アイデンティティ形成と深化、日本の臨床心理学の土台作りへの関与、心理臨床学会・臨床心理士の育成への関与、次世代への継承等、鑪幹八郎氏の人生を「境界」という視点から記述・分析した。本研究は、岡本祐子(編著)(2016) 世代継承性シリーズ第2巻『境界を生きた心理臨床家の足跡: 鑪幹八郎からの口伝と継承』(ナカニシヤ出版, 総349ページ)として出版した。(本研究の対象者である鑪幹八郎氏には、出版の承諾を得、氏の校閲を経て、すでに刊行済である。)
研究Ⅲ: Erikson(1950)の世代継承性(Generativity)の概念と理論に基づいて行われた世代継承性に関する理論研究および実証研究(1950年~2016年に英語または日本語で刊行された論文)を、領域別に紹介・論評した著書の執筆・編集作業を進めた。また、世代継承性研究のヴィジョンと展望を総説としてまとめた。本書は、岡本祐子他(編著)世代継承性シリーズ第3巻『世代継承性研究の展望』(ナカニシヤ出版)として、2017年度内に脱稿、2018年夏に出版の予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年度は、国際心理学会(ICP2016)(プログラム委員として運営に参加)、および日本発達心理学会第28回大会(大会委員長として運営)が開催され、それぞれ海外からの招待講演者を招聘した。いずれも本科研研究に関わる重要な講演が行われたが、2つの大規模学会の企画・運営に多くの時間を要したため、本研究自体の進捗はやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本科研研究は2016年度が最終年度であったが、上記の理由が認められ2017年度まで研究期間延長が承認された。日本発達心理学会第28回大会(2017年3月25日~27日)終了後、本研究Ⅲの編集作業に復帰した。研究代表者以外に2名の編者の協力を得て、2017年中に脱稿の予定である。当初の計画より1年遅れで、本研究は完了できると考えている。
|
Causes of Carryover |
2016年度は、国際心理学会(ICP2016)(プログラム委員として運営に参加)、および日本発達心理学会第28回大会(大会委員長として運営)が開催され、それぞれ海外からの招待講演者を招聘した。いずれも本科研研究に関わる重要な講演が行われたが、2つの大規模学会の企画・運営に多くの時間を要し、本研究自体の進捗はやや遅れたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本科研研究は2016年度が最終年度であったが、上記の理由が認められ2017年度まで研究期間延長が承認された。日本発達心理学会第28回大会(2017年3月25日~27日)終了後、本研究Ⅲの編集作業に復帰した。研究代表者以外に2名の編者の協力を得て、2017年中に脱稿の予定である。当初の計画より1年遅れで、本研究を完了する。
|