2013 Fiscal Year Research-status Report
中高年者の知的活動と認知機能の低下防止との関連性を検証する包括的コホート研究
Project/Area Number |
25380884
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
岩原 昭彦 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 准教授 (30353014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜島 信之 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30172969)
八田 武志 関西福祉科学大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80030469)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 認知機能 / 高齢者 / 認知の予備力 / ライフスタイル / 血圧管理 |
Research Abstract |
本研究では、ライフスタイルが高齢者の認知機能に及ぼす影響を2つの観点から解析した。壮年期の高血圧が高齢期の認知機能の低下と関連していることが明らかにされつつあるとはいえ、高血圧と認知機能との関連性については未だ結論が出ていない問題である。60歳代と70歳代では認知機能が低下する背景因子に違いあるという仮説を検証するために、本研究では血圧と認知機能との関連性を年代別に解析した。その結果、60歳代においては10年前の高血圧が認知機能を低下させるリスク因子である一方、70歳代においては10年前の高血圧よりも降圧剤の使用が認知機能を低下させるリスク因子となることが明らかにされた。壮年期における血圧の管理が高齢期に認知機能を維持するためには重要であることが示唆された。 また、我々の先行研究では情報通信機器を使用すると前頭葉機能や頭頂葉機能が高まるという結果が得られていた。そこでは、情報通信機器の使用が認知機能の低下に影響を直接与えているのではなく、新しい技術を使ってみようというとする前向きな気持ちが認知機能を高めている可能性について考察した。そこで本研究では、チャレンジ精神が認知機能と関連しているかを検討することを目的とした。その結果、チャレンジ精神が高い対象者の認知機能が優れることが明らかにされた。知的活動に先立つ動機付けが高齢者の認知機能の維持には重要な働きをしているという考え方が、近年、動機付けの予備力として提唱されている。本研究で得られた結果は、動機付けの予備力説と一致するものであった。チャレンジ精神と知的活動との関連性を検討することにより、認知の予備力における動機付けの予備力に影響について検証する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
認知機能の追跡調査を行うためのデータベース作りが遅れている。心理データだけでなく種々の医学データを連結することを試みているために、膨大なデータベースになることが予想される。連結作業自体が想像以上に大変であることと、過去の住民健診のデータを自治体から提供してもらうための手続きに時間を要したことが原因となり、作業を開始するのが少し遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度以降は、研究補助者を雇うことで作業を速めたいと考えている。また、追跡調査についても人海戦術でデータを同時に収集する予定にしている。本来の目的である、縦断的解析を一日でも早く開始できるよう、データの収集と整理に努めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ連結作業が当初の予定より遅れているために、データ入力に関わる謝金を使用しなかったため。 前年度の遅れを取り戻すために、データ入力を担当する研究補助者を予定より増員することを計画している。
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