2014 Fiscal Year Research-status Report
中高年者の知的活動と認知機能の低下防止との関連性を検証する包括的コホート研究
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25380884
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
岩原 昭彦 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 准教授 (30353014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜島 信之 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30172969)
八田 武志 関西福祉科学大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80030469)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 認知の予備力 / 認知加齢 / 知的活動 / 認知症予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の高次脳機能(認知機能)を維持するための効果的な方法としては、読書や文通や日記をつけることなどを先行研究に見出すことができる。我々の先行研究でも、知的活動や情報通信機器を使用していると認知機能の低下を減衰させることが明らかにされている。そこでは、情報通信機器の使用が認知機能の低下に影響を直接与えているのではなく、新しい技術を使ってみようというとする前向きな気持ちが認知機能を高めている可能性について考察した。認知的活動そのものが認知機能を維持する影響因ではなく、活動に取り組もうとする姿勢が影響因になっていることは動機づけの予備力として知られている。本研究では、チャレンジ精神と知的活動との関連性を検討することにより、認知の予備力における動機付けの予備力に影響について検証した。 ライフスタイル活動およびチャレンジ精神が高次脳機能検査に与える影響を重回帰分析によって検討した。重回帰分析に際しては、知的活動、対人交流、IT使用、チャレンジ精神を説明変数、高次脳機能検査の成績を目的変数とし、性、年齢、教育歴で補正した。チャレンジ精神とライフスタイル活動の影響力を比較すると、ライフスタイル活動は高次脳機能に関連しているものの、チャレンジ精神は関連しないことが明らかとなった。 チャレンジ精神が知的活動よりも高次脳機能の成績に対して影響力があるという仮説は支持されなかった。本研究で得られた結果は、動機付けの予備力説とは一致しないものあった。IT使用が道路図検査やストループ検査の成績に影響するという結果は我々の先行研究を追認するものであった。新しいことにチャレンジする気持ちでなくなぜIT使用そのものが前頭葉機能や頭頂葉機能に影響を与えているのかについては今後さらなる検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の最終的な目的は、縦断的な解析を行うことで、認知機能の低下勾配の個人差が何によってもたらされるかを検討することである、現状では横断的な解析にとどまっている。採取したデータに対して縦断的な解析を行うことで研究の目的を達成する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
解析方法を専門家に相談することで縦断的データに対する妥当な解析を実施する。データ自体は集まっているために、いかに有効な解析方法を実施するかだけに問題があるため、専門家の知恵を借りることによって解決できると考えている。
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Causes of Carryover |
平成27年3月に計画していた脳画像研究が施設の機器トラブルにより中止になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度中に脳画像データを採取するための研究を実施するので、その費用として研究費を使用する予定である。
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