2015 Fiscal Year Annual Research Report
中高年者の知的活動と認知機能の低下防止との関連性を検証する包括的コホート研究
Project/Area Number |
25380884
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
岩原 昭彦 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 准教授 (30353014)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜島 信之 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30172969)
八田 武志 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (80030469)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 高齢者 / ライフスタイル / 認知機能 / 認知の予備力 / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高齢者の認知機能の低下を予測する因子を縦断的な解析により推定することを目的とした。15年間の住民健診で蓄積してきた神経心理学検査データと社会・心理的な指標および生理学的な指標との関連性を横断的かつ縦断的に検証した。社会・心理的な指標においては、知的活動へどの程度従事しているかが認知機能の維持と関連していることが重回帰分析の結果から明らかとなった。知的な活動へ従事する頻度の高さが論理的記憶、言語流暢性、注意機能、抑制機能、視空間機能に関わる検査成績を高めることが、性別、年齢、教育歴を調整しても認められた。しかしながら、壮年期に知的活動に関わる頻度が高かった群と低かった群とに分割して、認知機能の縦断的変化をマルチレベルモデルによって分析したところ、群間の低下勾配に有意な差は認められなかった。 社会・心理的な側面からの影響として、笑いやユーモアが認知機能に及ぼす影響について検討した。ユーモア特性や笑いの頻度が高い対象者と低い対象者の認知機能を横断的、縦断的に解析したが、どちらにも有意な差は認められなかった。 生理適な指標と認知機能との関連性については、血圧(SBP,DBP)が低いほど認知機能検査の結果が高いことが、頚動脈の内膜中膜複合体厚が小さいほど認知機能検査の結果が高いことが明らかとなった。また、血圧に関しては、60歳代の対象においては50歳代の血圧が低いほど60歳代の認知機能検査の成績を高くすることが縦断的な解析から明らかとなった。一方で70歳代の対象者においてはそのような関連性は認められなかった。 心理社会的な変数は個人間の誤差変動が大きいために、高齢期の認知機能との関連性が認められなかったと考えられる。一方で、生理的な指標は高齢期の認知機能を予測する変数として有用であると考えられる。
|