2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380886
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Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
大原 貴弘 いわき明星大学, 人文学部, 准教授 (00347973)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | あくび伝染 / 性格特性 / 気質 / 情動伝染 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、あくびの伝染現象に焦点を当て、特にその生じやすさを規定する内的要因について、包括的に検討することを目的とする。 すでに平成25年度までに「あくび伝染を規定する特性5因子についての実験的検討」を行ってきた。この研究では、知人のあくびを想像させた時に生じるあくび伝染頻度と、NEO-FFIによる特性5因子の各得点の関係を検討するため、集団型実験を実施した。その結果、あくび伝染の生じやすさに対して、外向性が正の効果、誠実性が負の効果を有することを明らかにした。この知見は他者・外界への興味関心などといった要因があくび伝染に寄与している可能性を示している。以上の知見については、本年度、パーソナリティ心理学会第23回大会において発表した。 さらに本年度は、この知見の再現性を確認するため、性格に加えて気質も測定できるTCI-R(Temperament and Character Inventory-Revised)を使用し、あくび誘発刺激としてあくび音声を用い、集団型実験を行った。さらに情動伝染尺度も使用し、あくび伝染との関係について検討した。その結果、新奇性追求性や自己志向性、協調指向性の高さがあくび伝染に寄与している可能性が示された。さらに、情動伝染の高い人ほど、あくび伝染が生じやすい可能性も新たに示された。今後、人数を増やし、さらに精度を高めて検証することで、あくび伝染を規定する内的要因に関する新たな知見の獲得が期待される。それらの知見は、学会発表や論文を通して広く発表する予定である。 また本年度は、これまでのあくび伝染研究を概観し、これまでのような他者への関心に加え、自分への関心、特に内受容感覚の鋭敏さがあくび伝染に寄与している可能性について考察し、論文(いわき明星大学人文学部研究紀要)として発表した。この論文を通して、あくび伝染研究に対する新たなアプローチの可能性を提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度開始した「あくび伝染を規定する気質・性格特性」に関する集団型実験は、実験参加者の募集などに時間がかかってしまったため、当初の計画よりもやや遅れている。また、平成27年度に計画している個人型実験についても、測定内容に修正を加えたため、実験環境の準備ならびに参加者募集に、予定していたよりも時間を要している。したがって、総合的に見れば、研究はやや遅れているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成26年度に開始した「あくび伝染を規定する性格・気質要因に関する集団型実験」を継続実施する。これによりあくび伝染に関する性格・気質要因について包括的に検討してゆく。 さらに個別型実験も実施する予定である。個別型実験では、あくび誘発刺激としてあくび映像を用いる。さらに、内的要因の測定として、TCI-Rや情動伝染尺度に加え、心拍検出課題を用いることで内受容感覚の鋭敏さについても測定する。これによりあくび伝染を規定する個人的要因として、性格特性・気質だけでなく、内受容感覚の影響についても検討することができる。以上の研究を通して、この現象の背景にある心理・生理的機序に関する実証的知見を得る予定である。 以上の研究で得られた知見については学会発表・論文発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
個別実験の実施に遅れが生じたため、実験参加者・実験協力者への謝礼支払いが完了しておらず、当該助成金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は個別実験の実施に伴い、(1)実験参加者や実験協力者、データ整理・入力協力者などに対する謝礼、(2)個別型実験に関わる物品購入費、(3)資料整理のためのファイルや印刷用紙などの消耗品購入費、(4)文献資料の購入費、ならびに(5)研究成果の発表のための学会参加に関わる旅費や英語論文校正費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)