2013 Fiscal Year Research-status Report
2世代間の母子関係が子どもの食行動の選択に及ぼす影響
Project/Area Number |
25380889
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
小野寺 敦子 目白大学, 人間学部, 教授 (40320767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 理恵 目白大学, 人間学部, 准教授 (40383327)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 食ライフスタイル / 高齢者 / 大学生 / 母親 |
Research Abstract |
目的:本研究では日本人の大学生と母親との2世代間において食への考えや食行動がどのように関連しているのか、また母子間の心理的感情が子どもの食行動に及ぼす影響を検討した。対象者:大学生の男女700名に質問紙を配布し回答を求め、その後、母親422名に対して質問紙を配布し無記名で回答を依頼し返送を求めた。本研究では母子ともに回答が得られた255組について分析した。調査項目:①食ライフスタイル尺度 ②1週間の食行動チェック③現在の生活の満足感。④エゴレジリエンス・⑤父親/母親との関係性を尋ねた(大学生のみ)。⑥子どもに対する意識。⑦養育態度。⑧ジェネラティヴィティに関する(⑥から⑧は母親のみ)。その他、年齢等の基本属性。結果1.食ライフスタイルに関する12項目について大学生と母親別々に因子分析を行った結果、両群ともに「料理好き」・「伝統重視」・「コンビニエンス」の3因子が抽出された。両群の3因子間の相関係数を求めた結果、母親が料理好きで伝統を重視した食事をしている場合、子どもも料理好きで伝統を重視した食ライフスタイルを重視していることがわかった。その一方で、母親がコンビニエやファーストフードを多く利用していると子どももそうした傾向が強かった。結果2.大学生からみた母親との関係項目を因子分析し「母親との対立」「母親への依存」「母親からの干渉」「母親からの依存」因子が抽出された。これらと子どもの食ライフスタイルとの関連を検討した結果、母親からの干渉が多いと感じている子どもは、コンビニやファーストフードなどの食事スタイルをとる傾向が見られた。結果3.母親が子ども中心の養育態度(例:子どもがほしがるものがあれば買ってきた)をとる場合、子どもがコンビニなどの簡易な食スタイルをとる傾向がみられた。以上より大学生の食ライフ行動は母親の食ライフ行動および養育態度と関連していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由)本研究全体の目的は、(1)母親の食への考え方や日々の食行動が子どもの食ライフスタイルに与える影響および(2)母子間の心理的感情が子どもの食行動に及ぼす影響を検討することである。研究の初年度にあたる平成25年度では、大学生とその母親という同一の家族内における2世代間を調査対象者とし研究を行った。 その結果、大学生700名に対して質問紙を配布し調査を実施した422名より回答が得られた。次にこれらの母親に対して質問紙を郵送して配布したところ、255名より返却があった。A子の母親Aというように同一の家族内の親子ペアーより貴重なマッチングデータを得ることができたこと。このことは今年度の大きな研究意義であると評価できる。次に結果の分析では、子どもと母親から得られたデータをすべて入力しSPSS統計ソフトを使用して分析を実施できた。その結果、料理好きであり、伝統的な食事スタイルを大切にしている母親の子どもは料理が好きで伝統的食事スタイルをする傾向が明らかになった。 その一方で母親がコンビニエンスやファーストフードをしばしば利用する場合は、その子どももそうした傾向が強いことが示された。このことから(1)の研究目的を達成することができた。また、母親から干渉されているという意識の強い子どもは「コンビニ」得点が高かったのに対し、母親を頼りにし母親からも頼られていると感じている子どもは「伝統重視」の食ライフ行動をとる傾向が示された。この結果(2)の研究目的も達成することができた。 このことから今年度の研究目的では、母親の食行動が子どもの食行動に及ぼす影響を検討することであったが、この影響を確認することができた。したがって今年度の研究はおおむね順調に進展し、研究結果の面でも説得力のある結果を得ることが出来たと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究目的の1つ目は、中年期の娘と高齢期の実母との2世代間を研究対象者とし実母世代の食行動が中年期の娘の母子関係と食行動に与える影響を検討することである。平成25年度に得られた結果を基にして、5月から6月に質問紙の原案を作成する予定である。質問紙の内容としては、食ライフスタイルや1週間の食行動チェックは昨年度と同様であるが、今年度は実母の健康状態、実母とのコミュニケーション量などを考慮する予定である。調査は社会福祉協議会の協力を得て、調査用紙の配布を予定している。2つ目の研究として30組の中年女性とその実母に対して食事場面の写真撮影を1週間依頼し、その時、誰といつ食事をしたのか、その時の気持ちなどを記入してもらう質的研究調査を実施する予定である。本研究は高齢者研究を中心におこなってきている研究分担者の河野理恵を中心に進める予定である。 また、平成27年度に韓国の大学生とその母親とを調査対象とした日韓比較を実施する予定である。そのための準備として韓国の食ライフの現状などについて文献研究および目白大学に在籍している韓国からの留学生へのインタビューを進めていく予定である。そして質問紙の翻訳などに時間を要することが予想されるため、今年度より韓国で実施する質問紙の内容の精査をおこなっていきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、親子でのペアーデータを取ることを目的としていたが、母親からのデータの回収数が少なかったために、郵送代金およびそれらの入力アルバイト代金が予定の金額よりも少なかったため、次年度への使用額が0よりも大きくなった。 こちらの額を今年度は、中年の娘とその実母とのアンケート調査代金に充当して使用する予定である。
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Research Products
(1 results)