2014 Fiscal Year Research-status Report
応用力を高める学習方式を探る: 言語教示,試行錯誤,等価性学習の比較
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25380892
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
木原 久美子 帝京大学, 文学部, 教授 (70266279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 要 帝京大学, 文学部, 教授 (80280543)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 等価性 / 試行錯誤学習 / 言語教示 / 応用可能性 / 小学生 / 大学生 / 大学生 / CAI |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度前半は,昨年度に開始した,小学生を対象として(a) 言語教示,(b) 試行錯誤,(c) 等価性,の3種の学習方法で第1課題を習得させた後,課題構造を僅かに変化させた第2学習を行なわせ,第1学習が第2学習に及ぼす影響を検討する実験を継続した。その結果,応用課題である第2学習の習得は,第1学習を試行錯誤的に実施した群の方が,言語教示によった群より容易である傾向が確認されたが,大学生参加者に比べて個人差が大きかった。また大学生では試行錯誤学習と同等の効果を示した等価性学習は,残念ながら小学生では効果を示さず,場合によっては等価性学習による第1学習が達成基準に到達しないこともあった。 等価性学習の効果の年齢差は,等価性学習と言語習得を巡る従来の論争と関係すると考えられ,本研究課題とは別の視点も採り入れた更なる検討が必要であろう。 年度後半からは,大学生で認められた等価性学習の効果と言語教示の違いを詳細に検討する為に,第1学習の下位学習を,言語ラベル刺激の見本合わせで行なう条件を新たに設け,8名の大学生参加者を対象に予備的な実験を実施した。現時点までの結果では,言語ラベル・ノードを加えた等価性学習の成績には個人差が認められ,従来の知見との比較し得る明瞭な結論は得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究は申請時の計画から2-3ヵ月分程の遅れで進行している。初年度に生じた実験制御用コンピュータ・システム更新の必要から生じた遅れはほぼ解消することができたが,小中学生での実験は実験参加者の確保と実験日程調整が難しかったことが関係している。その関係で目標より多少データ数 (実験参加者数) が不足しているのが,計画していた実験は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の研究計画に従い,来年度は,新たに追加した3つの学習方式について大学生実験参加者を用いた実験的検証を重ねる。1つは,A→B関係とB→C関係を言語教示により学習させ,A→C関係を等価性として習得させる方法であり,残る2つは,A→ B,B→C,C→Dを言語教示か試行錯誤で訓練して,A→D関係を等価性として習得させる方法である。参加者の正答率が低下しないよう注意しつつ,介在要素を3-4個に増やした条件についても実験を試み,新たな3つの学習方式の,第2課題への転移の程度を明らかにし,言語教示と試行錯誤,介在要素の関係を明らかにする。今年度の予備的実験から,A→D関係を等価性により習得させる学習方式の効果には個人差が大きいことが見出されているので,来年度前半は,実験参加者数を増やし個人差の大きさを確認すると共に,データの詳細な分析を行ない個人差を生み出す変数の同定を試みる。大学生参加者において十分な個人差統制の可能性が示されれば,後半は同様の実験を小中学生参加者を対象に発展させ,大学生参加者の個人差統制が難しければ,後半は大学生参加者を対象に個人差を生み出す変数の同定に専念する。
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Causes of Carryover |
「現在までの達成度」に記載した理由により,研究進行が僅かに遅れ,その為に実験規模が減少して,実験に使用する消耗品が計画より少なくなった為に,僅かの次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度以降,実験参加者を増やし,当初計画に従った実験規模を実現する。それに必要なデータ分析用コンピュータ或は研究成果発表の為の原稿校閲に必要な費用など,次年度使用額も含めた予算額を有効に活用できると考えている。
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