2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380893
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小塩 真司 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (60343654)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 思考スタイル / 二分法的思考 / 不適応行動 / 外在化問題 |
Research Abstract |
本研究は,ものごとを「白と黒」「善と悪」「勝者と敗者」のように中間を排除した二種類のいずれかとして二項対立でとらえる二分法的思考が適応・不適応にどのように関わるかを解明することを目的としている。 平成25年度においては,二分法的思考と適応・不適応の指標となる諸変数との関連を探索的に検討した。特に,外的な問題行動として敵意や攻撃行動との関連を検討した。 全国の大学生を対象としたインターネット調査を行い,男性371名,女性429名,計800名から回答を得た。平均年齢は20.0歳であった。使用した尺度は,二分法的思考とBuss-Perry攻撃性質問紙であった。分析結果から,二分法的思考と短気,敵意,身体的攻撃,言語的攻撃との間に中程度の正の相関が見られることが明らかにされた。二分法的思考のうち「二分法の選好」は短気や言語的攻撃に,「二分法的信念」は身体的攻撃に比較的大きな関連をすることが示された。また,二分法的思考と自尊感情が身体的攻撃や言語的攻撃に及ぼす影響について重回帰分析によって検討した。結果から,二分法的思考のうち「二分法的信念」が身体的攻撃に正の影響を及ぼしており,二分法的思考のうち「二分法の選好」と自尊感情の高さが言語的攻撃に正の影響を及ぼしていることが示された。二分法的思考と自尊感情がともに高いほど,言語的攻撃を行う傾向が示されており,今後はこの背後にあるプロセスに焦点を当てていくことも有用であると考えられた。 また平成25年度においては,二分法的思考と特権意識やDark Triad(自己愛,マキャベリアニズム,サイコパシー)といった望ましくない心理的特性との関連も確認された。これらの関係性も考慮に入れながら,二分法的思考と外在化問題との関係性を明確化していく必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二分法的思考に関連する諸変数の情報は順調に蓄積されており,最終的な二分法的思考の適応・不適応経路モデル構築への足がかりは十分に達成されたと考えられる。しかしながら,まだ情報整理が不十分な面があり,今後はその点を補完しつつ研究を推進していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,単なる関連情報だけではなく,因果関係の可能性について理論面・データ面の両面から検討していく。また,二分法的愛好と適応・不適応との間を媒介する変数についてもその可能性を検討していく。またすでに得られたデータについては,結果が整理され次第,研究成果を投稿していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査委託が年度末に行われ,その精算の過程で最終的な残額が生じたため。 残額を次年度に組み込み,物品費の一部としてとして使用する。
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Research Products
(3 results)