2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380893
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小塩 真司 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60343654)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 二分法的思考 / 適応 / 不適応 / パーソナリティ / 対人関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,ものごとを「白と黒」「善と悪」「勝者と敗者」のように中間を排除した二種類のいずれかとして二項対立でとらえる二分法的思考が適応・不適応にどのように関わるかを解明することを目的としている。 平成26年度においては,二分法的思考と認知的なバイアスとの関連および外在化問題に関わる変数との関連についてさらなる検討を行った。 二分法的思考は,現実世界をバイアスのかかった目で見る可能性がある。そこで,2014年6月から7月にかけて行われたFIFAワールドカップの前と後に,試合結果の予想と結果についての意識を尋ねる調査を行った。ワールドカップ前に日本の予選の試合について予想し,その予想にどの程度自身があるかを回答させ,ワールドカップ終了後に事前にどの程度予想できていたと感じるかを尋ねた。また前後の調査でワールドカップに対する興味と二分法的思考も尋ねた。そして結果から,試合結果の予想感に対し二分法的思考とワールドカップへの興味の交互作用効果がみられ,二分法的思考が高い者はワールドカップに興味があるほど予想できていると感じる傾向にあることが示された。このことは,二分法的思考が後知恵バイアスに影響する可能性を示唆した。 また,二分法的思考と攻撃性との間を媒介する可能性のある諸変数に関して調査を行った。結果より,二分法的思考は私的自意識,パラノイア傾向,行動抑制系・行動賦活系(BAS/BAS)のうち特に行動賦活系の特性と関連することが示された。さらに,二分法的思考と攻撃性との関連が幅広い年代において見られるかどうかを検討したところ,より若い年齢層のほうが二分法的思考と攻撃性とのあいだの関連が強い傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二分法的思考と適応・不適応経路モデルに向けた情報収集は順調に推移している。現在,重要な研究知見が蓄積しつつある状況にあり,その結果の中には,再現性についても確かめることができる頑健なものも含まれている。今後もより確かな研究知見を積み重ねるべく,引き続き調査・検討を行っていく予定である。また,最終年度に向けて,適応・不適応経路モデルをより確実に構成するために,予備的検討についても行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで,特に二分法的思考と問題の生じる可能性のある諸特性との関連が検討されてきた。最終的なモデル構築を行うに際し,変数間の関連の頑健性について十分に検討する必要があると思われる。なぜなら,一般化可能性の欠けるモデルを構築してしまう危険性があるためである。この点を留意しながら,二分法的思考と他変数との関連をより詳細に検討する。また同時に,研究知見の発表・論文化についてはまだこれからという段階でもある。これまでに得られた研究知見を積極的に公表していく。
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Research Products
(4 results)