2015 Fiscal Year Research-status Report
「循環型いじめ」生成・持続メカニズムの解明と予防・解消方法の開発
Project/Area Number |
25380898
|
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
三島 浩路 中部大学, 現代教育学部, 教授 (90454371)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | いじめ / 拒絶感受性 / 仲間集団 |
Outline of Annual Research Achievements |
中学生を対象にした調査結果を分析して、「仲間からのいじめ被害」と「広範ないじめ被害」に「いじめ」被害を分類し、学級集団要因と個人特性がそれぞれの「いじめ」被害認知にどのような影響を与えるのかを検証したところ、学級集団要因が「広範ないじめ被害」認知に影響を与え、独占的な親密関係指向といった個人特性が「仲間からのいじめ被害」認知に影響を与えることを示唆する結果が得られた。こうした結果が得られたことから、「循環型いじめ」のメカニズムを検討する際にも、「いじめ」のタイプを考慮することが必要である。 具体的には、「循環型いじめ」の個人内メカニズムを説明するモデルとして、本研究では拒絶感受性という個人特性に着目しているが、拒絶感受性は独占的な親密関係指向という個人特性に近いものであることから、「循環型いじめ」が、「仲間からのいじめ被害」と関連する仲間集団内の「いじめ」としてより顕著にみられる可能性がある。一方、学級集団の影響を強く受ける「広範ないじめ被害」の被害者と加害者に関しては、「循環型いじめ」として想定しているような、被害者と加害者との入れ替わりが起きにくいことも予想される。こうした点について、平成28年度の研究の中で検討したい。 本研究では、「いじめ」被害・加害を媒介する個人要因として拒絶感受性を想定しているが、拒絶感受性が「いじめ」被害・加害を媒介しているのか、それとも、擬似相関的に媒介しているように見えるだけなのかも明らかにする必要がある。この点を検証するために、高校入学前後の時期に2回の調査を行い、その結果を分析するという方法で検証を試みたところ、拒絶感受性が「いじめ」被害・加害を媒介することを示唆する結果が得られた。こうした結果が得られたことから、平成28年度の研究では、拒絶感受性の低減が「いじめ」の予防・解消に結び付くことを前提に、実践的なプログラムを検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
仲間集団内における「いじめ」として、拒絶感受性が関連する「循環型いじめ」が生起しやすいことを示唆する結果や、「循環型いじめ」に拒絶感受性が関連することを示唆する結果が、これまでに行った調査研究により得られた。こうした結果を「日本学校心理士会年報」や「現代教育学部紀要」に公開することで、本研究の骨格となる部分を完成・公表することができた。今後は、こうした知見を基盤にして授業実践の方法を検討する段階に進むことが可能であり、研究が順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究を進める中で収集した拒絶感受性に関する資料をもとにして、拒絶感受性に関する尺度について論文化する。また、拒絶感受性の低減を通して、「循環型いじめ」の予防・解消を試みる授業の指導計画づくりを教育現場と連携して推進する。
|