2014 Fiscal Year Research-status Report
運動抑制の加齢変化 -反応タイプの違いに注目して-
Project/Area Number |
25380901
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
土田 宣明 立命館大学, 文学部, 教授 (40217328)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抑制 / 高齢者 / 運動抑制 / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,運動コントロールへの加齢効果を検討することにあった。過年度の実験条件に加えて,今年度は二重課題条件下での誤反応率の影響を分析した。二重課題として,場所弁別が必要なスイッチ押し課題と並行して,それとは無関連な,色の弁別課題を負荷した。 実験の結果,色の弁別課題を負荷することより,tone effectが消失した。single課題時では,音刺激の提示によりerror rateが上昇していたにも関わらず,二重課題時には音刺激の提示によるerror rateの上昇がみられなかった。しかし,反応タイプの違いによるerror rateへの影響は残った。二重課題においても,グラスプスイッチ条件でerror rateの上昇が確認された。 このことから考えられることは,次の点である。高齢者では音刺激の提示や運動タイプの違いにより,error rateに大きな影響がみられたが,errorを引き起こすメカニズムはこの2つで大きく異なる可能性がある点である。色弁別課題を負荷し,視覚刺激への意図的注意を喚起して,反応の衝動性を抑えるような操作をした結果,音刺激の提示による衝動的な反応は減少したものと思われる。Tsuchida(2005)は,視覚刺激が妨害的に働くような条件において,同様に二重課題を実施することで,error rateの減少を確認している。今回の音刺激に関しても同様の結果が現れたものと思われる。しかし,手の把握運動を必要とし,運動性の神経興奮が拡大しやすい条件では,色弁別課題の影響はみられなかった。今回設定した実験条件においても,高齢者は,運動性の神経興奮が減衰しないまま残った可能性が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験条件の分析が終わり,今年度はこれをまとめる作業をする予定である。ほぼ当初の予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,これまでの実験結果をまとめたい。それと並行して,今回の実験結果が影響するであろう日常場面(たとえば,アクセルとブレーキの踏み間違い問題)を想定して,さらなる研究計画の足かがりとなるような実験と文献検索を進めたい。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた洋書の刊行が遅れ,次年度の発注見込みとなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度にあたるので,これまで実験結果のデータの整理・分析と論文化を予定している。さらに追加の実験を予定している。このために,文献や分析用のパソコン,報告書の印刷費の執行を予定している。
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