2014 Fiscal Year Research-status Report
成人初期における結婚生活に対するコミットメントの変容過程に関する研究
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25380902
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
宇都宮 博 立命館大学, 文学部, 准教授 (10320152)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 成人初期 / 夫婦 / 婚約 / 新婚 / 関係性 / コミットメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,結婚前後および実際の結婚生活が開始されて以降,コミットメントがいかに形成,展開されているのかに焦点を当てている。量的および質的検討を通して,成人初期における結婚生活に対するコミットメントの変化とそのメカニズムを実証的に解明し,心理的支援のための示唆を得ることに主眼が置かれている。 本年度では,「婚約期」ならびに「新婚期」におけるコミットメントとその関連要因を横断的に検討する目的で,以下の2つオンライン調査が行われた。1つ目は,「婚約期」(2015年1月~2017年1月に挙式あるいは入籍を予定している者)を対象としたものであり,734名(うち,ペアでの回答は174組,348名)の回答が得られた。2つ目は,「新婚期」(2013年1月~2015年1月に入籍ないしは挙式をした者)を対象に実施された調査であり,822名(うち,ペアでの回答は216組,432名)の回答が得られた。対象者は,すべて自己とパートナーともに20代ないしは30代で,子どもがおらず(妊娠もしていない),初婚同士である。学生は含まれていない。どちらも調査終了後,ほぼ2週間後にコミットメントに関する尺度の安定性を検討する目的で再度調査が実施された。分析を通して,「婚約期」,「新婚期」いずれも本研究で新たに構成されたコミットメントに関する尺度の信頼性および妥当性が検証された。また,同尺度と基本的属性,心理的ストレス反応,主観的幸福感等との関連性について個別的な検討とともに,2群間の差異に着目した比較検討もなされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで内外の先行研究をもとに理論的検討を重ねるとともに,2013年度での予備調査ならびに2014年度での新婚者および婚約者(ともにカップルでの協力者を含む)を対象としたオンライン調査を実施した。当初は婚約者を対象とする結婚前後での縦断的検討を予定していたが,サンプル(とくにペアでの縦断的データ)の確保の困難さから,新婚者と婚約者を個別に実施し(属性によって調査票の内容が異なる),来年度以降の追跡調査に向けて準備する必要性が生じたためである。結果として同調査に当初予定していた以上の経費を要することとなり,やむを得ず予定されていたインタビュー調査は,来年度に変更となった。インタビュー調査の実施にあたっては,「立命館大学 衣笠キャンパスにおける人を対象とする研究倫理審査委員会」から承認を得ており,速やかな実施が可能な状態である(承認番号:衣笠-人-2014-45)。なお,来年度以降のオンライン調査については,上記の対象者をすべて有配偶者としてまとめられることから,インタビュー調査への支障は出ないものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の進展状況をふまえ,2015年度ではインタビュー調査による分析を重点的に取り組んでいく方針である。すなわち,主に年度前半では新婚期夫婦を対象に,また後半には乳児をもつ夫婦を対象に,個別方式での半構造化インタビューを実施し,コミットメントの形成と変容のプロセスを分析していく予定である。なお,2015年度においても,今年度の研究対象者(カップルを含む)に対し,追跡的にオンライン調査を実施し,縦断的研究を行う予定である。本調査の実施は,前回調査した1年後(2016年1月~2月頃)を目途に計画している。
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