2015 Fiscal Year Research-status Report
成人初期における結婚生活に対するコミットメントの変容過程に関する研究
Project/Area Number |
25380902
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
宇都宮 博 立命館大学, 文学部, 准教授 (10320152)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 成人初期 / 夫婦 / 婚約 / 新婚 / 関係性 / コミットメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,結婚前後および実際の結婚生活が開始されて以降,コミットメントがいかに形成し,維持あるいは変容を遂げていくのかに焦点を当てている。量的および質的検討を通して,成人初期における結婚生活に対するコミットメントの変化とそのメカニズムを実証的に解明し,心理的支援のための示唆を得ることに主眼が置かれている。 2015年度では,量的検討の一環として,昨年度と同様にオンライン調査が実施された。調査内容は昨年度とほぼ同一であり,本研究で作成されたコミットメントに関する尺度のほか,基本的属性,心理的ストレス反応,主観的幸福感などが使用された。実施時期は前回の概ね1年後であった。対象者の内訳は,調査時に配偶者をもつ者が249名(前回調査で婚約中であった者76名を含む),婚約者をもつ者が66名である。ペアでの協力は夫婦が123組,婚約カップルが39組であった。分析の結果,前年度に構成されたコミットメントに関する尺度(関係的コミットメント,拘束的コミットメント,合理的コミットメント,コミットメントの無自覚・欠如)の妥当性ならびに信頼性が検証された。また,婚姻状態を問わず,1年前のコミットメントによって,現在のコミットメントならびに適応状況がある程度予測されることが示された。 一方,質的検討については,ともに成人初期である新婚期夫婦1組を対象に,個別形式による半構造化インタビューが実施された。対象者の語りは,時系列に沿って,第Ⅰ期の「出会い」から「婚約まで」,第Ⅱ期の「婚約」から「結婚」まで,第Ⅲ期の「結婚」から「現在」まで,そして「これからの人生」ごとに整理され,エピソードとそれに対する意味づけや,コミットメント形成の道筋が記述された。本分析を通して,当事者間の共通性と差異性をふまえながら,初期成人における新婚期の関係性発達とその関連要因について考察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オンライン調査による計量的検討については,計画に沿って予定通り行われた。一方,インタビュー調査による質的検討については,子どもをもたない新婚期の夫婦については実施,分析が行われたが,乳児をもつ夫婦については次年度に行われることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
オンライン調査は,継時的変化の分析を念頭に前年度と同じ時期での実施を計画している。また,インタビュー調査についても,引き続き成人初期に位置する子どもをもたない新婚期夫婦ならびに新たに乳児をもつ夫婦を対象に実施する予定である。
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Causes of Carryover |
関連図書の購入ならびにインタビュー調査(謝礼)の実施数が予定を下回ったことなどが主な理由として挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分として繰り越された額については,今年度と同様の箇所(図書費ならびに調査費)で使用する予定である。
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