2013 Fiscal Year Research-status Report
母親の心の理論における処理過程の解明:母親は子どもの気持ちを理解しているのか
Project/Area Number |
25380905
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Shoin Women's University |
Principal Investigator |
菊野 春雄 大阪樟蔭女子大学, 児童学部, 教授 (00149551)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心の理論 / 母親 / 子ども / 気持ちの推測 / 育児不安 / 心の理論の測定 / 表情の理解 |
Research Abstract |
本年度の研究では、心の理論に関する処理モデルを仮定して、母親の心の理論の処理過程を解明しようとした。具体的には、「心の理論における処理モデル」に基づいて、どの処理過程が母親による子どもの心の状態を認識するのに、重要なプロセスであるのかを検討した。また、育児不安と心の理論処理モデルがどのように関連するのかについても検討した。そのために、本研究では、幼稚園と保育所に子どもを通わせている母親を対象に、母親の心の理論等についての調査を行った。調査では、母親の心の理論を測定するM-ToMテスト、子どもの心の状態を推測するUCMテスト、育児意不安テストを実施した。その結果、低不安の母親に比べて高不安の母親ほど、子どもの気持ちを推測できると認識していることが認められた。また、低不安の母親に比べて、高不安の母親のほうが、高い心の理論を有していることが認められた。また、育児不安得点、心の理論得点、心の推測得点の3つの間の相関係数を算出したところ、育児不安得点と心の推測得点の間で0.228、育児不安得点と心の理論得点との間で0.372、心の推測得点と心の理論得点の間で0.246の値が認められた。この結果は、育児不安は、心の推測得点よりも心の理論得点で高い相関を示している。これらの結果は、母親の処理過の中で、心の理論の過程が子どもの心の状態を認識するのに重要であることを示唆している。また、母親の育児不安には、心の理論と心の推測の両方に関連していること、特に心の理論との関係が強いことを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
保育所や幼稚園の先生方の協力を得ることができた。大学の異動等で時間的に不十分であったので、分析については、更なる詳細な検討が必要と思う。
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Strategy for Future Research Activity |
より妥当で正確な認知スペースの測定方法を検討したい。また、大学異動で研究参加者である母親の確保など気になる点があるが、その点については、保育所などを含め母親の協力を得れるように努力をしたい。 また、平成26度は、平成25年度の研究結果を踏まえて、研究発表を行う計画をしています。特に、BPS(British Psychological Society Developmental Section)および日本発達心理学会の大会で研究発表を予定しています。なお、BPSについては、研究発表が受理されました。
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