2014 Fiscal Year Research-status Report
母親の心の理論における処理過程の解明:母親は子どもの気持ちを理解しているのか
Project/Area Number |
25380905
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Research Institution | Shizuoka Sangyo University |
Principal Investigator |
菊野 春雄 静岡産業大学, 経営学部, 教授 (00149551)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アイトラッカー / 視線分析 / 親 / 心の理論 / 表情理解 / 子どもの顔 / 推測 |
Outline of Annual Research Achievements |
母親や父親が子どもの気持ちをどのように判断するのかについて、非接触型のアイトラックを用いた実験を行った。特に、本研究では、養育者が子どもの気持ちを推測する際に、子どもの顔のどの部分を手掛かりとしているのかを明らかにすることを目的として、実験を行った。そのため、子育て中の父親と母親を対象にして、子どもの気持ちを推測する時に、顔もしくは身体のどの部分を手掛かりとしているのかを明らかにしようとした。 母親と父親に、複数の子どもの顔などの写真を提示し、子どもの顔のどの部分を見て気持ちを推測するのかを分析した。気持ちの判断は、子どもが悲しい気持ちであるかどうかであり、4段階で推測をさせた。 刺激材料の写真に対する注視時間を、右耳、右眉、右目、左耳、左眉、左目、口、鼻について領域について区分して測定した。その結果、身体部位の主効果が有意であった。個々の差を検定したところ、鼻、身体、右目が、右耳、左耳、左眉との間に有意な差が見られた。しかし、親の性別の主効果は有意でなかった。また、親の性別と身体部位の交互作用が有意であった。そこで、単純効果の検定を行ったところ、以下の差において有意差が認められた。親の性別と身体部位の交互作用が有意であった。右目では母親よりも父親で注視時間が長いこと、左目では父親よりも母親で注視時間が長いこと、口については、父親よりも母親で長いこと、身体では、母親よりも父親で注視時間が長いことが認められた。 以上の結果は、子どもの気持ちを推測する時に、父親と母親で手掛かりにする部位に違いがみられることを示唆している。すなわち、父親は右目や身体全体を手掛かりにして、子どもの気持ちを推測することが認められた。他方、母親は子どもの左目や口を手掛かりにして子どもの気持ちを推測することが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、「共有認知スペース」の要因を研究計画に取り入れる予定であった。しかし、予備調査などで「共有認知スペース」の要因の取り入れが具体的な続きで難しかった。そこで、本研究では、親の育児不安の要因を取り入れて、実験を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、メタ認知的養育の要因を取り入れた研究計画を予定通り実行したいと考えている。
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