2013 Fiscal Year Research-status Report
報酬分配と責任分配における幼児・児童の公平観に関する発達研究
Project/Area Number |
25380907
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
橋本 祐子 関西学院大学, 教育学部, 教授 (80228428)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 弥生 法政大学, 文学部, 教授 (00210956)
戸田 有一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70243376)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 公平観 / 道徳性発達 / 分配的公正 / 責任分配 |
Research Abstract |
子どもが「報酬」をどのように分配するかという研究はこれまで多数あるが、「責任」を「公平に分配する」という問題に関する子どもの理解については、発達研究のみならず、学校教育や家庭教育でも十分に取り上げられていない。本研究の目的は、幼児・児童が「責任」をどう分配することが公平と考えるのかを調査し、それを報酬の分配場面での考えと比較することによって、公平観の発達の様相を明らかにすることである。 25年度は、責任と報酬分配の両場面について4歳児と5歳児にインタビュー調査を行った結果を、各場面での年齢的傾向と、両場面での分配パターンの一貫性について分析した。分析には、両場面での分配を分析するために考案した4つの分配タイプ(均衡、均等、利己、利他)からなる枠組みを使用した。その結果、利己タイプは4歳児に、利他タイプは5歳児により多く見られることや、両場面に見られる一貫性についても5歳児により多く見られることが明らかになった。 25年度はまた、本研究の理論的展開として、(1)公平研究において時間軸やコミュニティの存在を考慮する必要性や、幼児が返報や巡報を考えている可能性、(2)報酬分配と責任分配の両場面を通じて論理的一貫性やメタルールが存在する可能性、(3)発達の到達点を「公平な分配」とする公平研究の前提を越え,献身的に不公平に踏み込んでいく「貢献的不公平」を含む発達観を考慮する必要性を問うといった点から研究パラダイムの再検討を行い、論文として発表した。 本研究のもう一つの目的である、公平観の発達の文化差を比較する国際共同研究の基盤づくりについては、ギリシャの研究者が同様の手法でのインタビュー調査を実施しており、文化差や研究方法の妥当性について共同で検討し、26年度に学会発表をする予定にしている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は本研究の理論的基盤の構築と展開を目的とした論文の執筆と、報酬と責任の分配に関する調査の分析と学会発表を行った。その調査の成果を国際学会誌に投稿するための論文を執筆中でもある。また、学会において、国際比較研究に向けた海外の研究者との交流を行い、次年度に予定している海外の研究者との共同研究のために準備を進めている段階である。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度は、報酬と責任の分配における公平観の発達について、幼児期から児童期にかけての縦断的研究を計画し、実施する予定である。また、国際比較研究に関しては、ギリシャの研究者との共同研究を学会で発表し、文化差や研究方法の妥当性について検討する予定である。その結果をもとに、国際共同研究の研究枠組と体制づくりをさらに進めていく予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度に予定していた報酬と責任の分配における公平観の発達に関する面接調査の実施を次年度に変更したため、調査に要する旅費や人件費を次年度使用額とすることとした。 26年度に、報酬と責任の分配における公平観の発達に関する面接調査を実施する予定であり、そのための旅費や人件費として使用する計画である。
|
Research Products
(2 results)