2013 Fiscal Year Research-status Report
恥の問題に対する陽性感情理論からの心理療法的介入の開発と効果の検討
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25380919
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
岩壁 茂 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 准教授 (10326522)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プロセス研究 / 臨床心理学 / 感情変容 / 恥 / 介入効果 |
Research Abstract |
本年度は、以下の作業を行った。3つの作業を並行して進めた。一つは、恥の問題およびそれへの心理的介入のレビューである。精神力動療法、体験療法、認知行動療法など幅広い文献レビューを行った。理論アプローチによる概念化の共通点を抜き出すとともに、それぞれの違いを整理した。恥を扱う上での治療関係の質に特に注目した。 次に、心理療法のデモンストレーションビデオにおける感情的傷つきへの介入の分析である。アメリカ心理学会心理療法シリーズのデモンストレーションを中心に面接プロセスの分析を行った。特に感情喚起のプロセスに着目し、介入モデルの素描を作った。Accelerated Experiential Dynamic PsychotherapyとEmotion-Focused Therapy (EFT)を中心に分析を行った。 3つめに実際の心理療法ケースの分析に着手した。ビデオ録画した面接のプロセスをクライエントの感情表出や体験の質を分類する尺度を用いて分析を進めている。特に、強い感情が表出された場面を抜き出して分析を行っている。 これらの作業から、恥の分類の基本類型が明らかになり、基本的な感情変容のステップを同定することができた。恥の感情を扱うために、肯定的であり共感的な治療関係の確立、恥不安とその回避への気づきを高めることがはじめのステップであることが確認された。次に、恥を喚起する前に、感情的傷つきへのレジリエンスを高めること、またはそれがあることが確認されることが重要であると分かった。恥の変容は、プライド、思いやり、愛情などの陽性感情の喚起が効果的であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異なるデータ(アナログ研究、インタビュー研究、実際の臨床ケース)から異なる方法(インタビュー、尺度データ、第三者評定データ)のデータが集まりつつある。第二年度と第三年度で予定する研究の基盤が整いつつある。また、分析の一部は国際大会で発表し、平成26年度も発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、セラピストとクライエントへのインタビュー、心理面接の逐語などをもとにした質的分析がかなり多くある。これは時間がかかるため、研究補助員の協力を得て効率的に行いたい。また、質的分析・量的分析を統合するための枠組みを定めるのも本年度の目標である。感情調整に関する心理療法的介入を行っている研究者は国内に少ないため、積極的に海外の研究者との打ち合わせはデータ面での協力を得たい。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] Clients' perspectives of change mechanisms and processes in AEDP.2013
Author(s)
Nucena, B. D., Cristo, S., Conceicao, N., Ferreira, A. R., Iwakabe, S.
Organizer
The Society for Exploration of Psychotherapy Integration
Place of Presentation
Barcelona, Spain
Year and Date
20130606-20130609