2014 Fiscal Year Research-status Report
恥の問題に対する陽性感情理論からの心理療法的介入の開発と効果の検討
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25380919
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
岩壁 茂 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 准教授 (10326522)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 恥 / 心理療法プロセス / 傷つき / カウンセリング / 治療関係 / 体験プロセス / 感情 / 治療関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の第一目的は、文献研究および予備調査に基づいて作成した介入の手引きにもとづいた試行カウンセリングを実施し、その効果とプロセスを検討することであった。6 事例に対して合計6回から10回の面接を行った。その効果は、介入前後の変化、数回ごとの変化の指標、クライエントへのインタビューから検討した。また、より長期的に実施した2名のクライエントとの心理療法の系統的事例研究も進めている。この2名はうつの症状を訴えて来談した成人のクライエントである。これまでに、感情の喚起から感情体験の意味づけのプロセスが成否による面接後の対人関係にどのように影響を与えているのか、感情喚起、対人葛藤、体験プロセスに関する尺度を用いて検討している。その結果、適応感情の喚起によって、面接後の体験関係のとらえ方に変化が生じることが示唆された。実際に、その変化は、介入前後の対人関係の問題の改善とつながっていた。また、体験プロセスが高まるだけでも同様に関係のとらえ方に変化があることから、感情変容にはいくつかの異なる道筋があることが示された。現在、クライエントのインタビューから得られたデータを分析中であり、観察された感情変容とクライエントの主観的な感情変容体験を比較している。これらの結果は、平成27年6月に開催される二つの国際大会 (The Society for Exploration of Psychotherapy Integration(SEPI)とThe Society for Psychotherapy Research (SPR))で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、試行カウンセリングを実施したデータ収集が比較的順調に進んだ。試行カウンセリングは、録画を含み、かなり手がかかるが、良好な効果をあげて意味のあるデータを集めることができた。大量の面接データの逐語化も進めており、研究の全体の進捗はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は引き続き、試行カウンセリングのデータ収集およびこれまで集積したデータの分析を行う。今年度は、介入マニュアルに基づいて比較的経験の浅い臨床家に訓練を行い、彼らがマニュアルに基づいて適切な介入ができるか検討することも視野に入れている。また、これまでに集めたデータを元に研究の論文化も7月以降本格的に取り組んでいく予定である。
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Research Products
(7 results)