2013 Fiscal Year Research-status Report
教師自身の自殺予防のための心理教育プログラムの開発的研究
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25380929
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
新井 肇 兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (60432580)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 教師 / 自殺 / バーンアウト / レジリエンス / ソーシャルサポート |
Research Abstract |
教師の自殺の促進要因と抑止要因に関する文献研究を進めたうえで、教師の自殺親和性とバーンアウト、レジリエンス、ソーシャルサポートの関係について、 A県内の小学校1校、中学校2校、高校2校の教師153名(性別:男性96名、女性57名、校種:小学校12名、中学校64名、高校71名)を対象に質問紙調査を行った。年齢構成は、20代37名、 30代39名、 40代29名、 50代47名であった。 質問紙の構成として、フェイスシートには、性別、校種、教職経験年数、勤務校の全クラス数、担任の有無、現在の校務分掌、1日の平均的残業時間、同居家族の記載を求めた。また、①レジリエンスの測定には、小塩・中谷・金子・長峰(2002)が作成した21項目からなる精神的回復力(レジリエンス)尺度を用いた。②バーンアウトの測定には、田尾・久保(1996) が翻訳・修正し,その信頼性・妥当性を確認しているMBIを用いた。③ソーシャルサポートの測定には、藤崎・越(2008)が作成した34項目からなるソーシャルサポート尺度を用いた。また、④自殺親和性については、大塚(1998)の作成した4項目からなる自殺親和状態尺度を用いた。 共分散構造分析を行った結果、バーンアウトと自殺親和性との間に強い相関が見られ、バーンアウトに対して、レジリエンスは抑止要因として強い影響を持つことが明らかになった。ソーシャルサポートは、実質的な援助サポートよりも情緒的な承認サポートにおいてバーンアウトの抑止要因として働くことが示唆された。 教師の自殺予防における、教職特性と自殺親和性との関連性を明確にすること、及び、レジリエンスを高めるためのプログラム開発の重要性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教師の自殺に関する文献研究を進めながら、自殺とバーンアウトの関係、バーンアウトとレジリエンス、及びソーシャルサポートとの関係に関する質問紙調査(予備調査)は実施することができたが、希死念慮を抱くほどのバーンアウト経験者へのインタビューを実施することができなかった。また、アメリカ・オーストラリアへの訪問調査も実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
自殺とバーンアウトの関係、バーンアウトとレジリエンス、及びソーシャルサポートとの関係に関する質問紙調査(本調査)を実施するととともに、バーンアウト経験者へのインタビューを行う。また、自殺予防に関する取り組みの先進国(アメリカ・オーストラリア・フィンランドなど)への訪問調査を可能な範囲で実施する。面接対象者の確保が課題である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
教師の自殺とバーンアウト、レジリエンス、ソーシャルサポートに関する予備調査は実施したが、本調査を行うことができず、質問紙の印刷代や郵送費、データ入力のための人件費等の支出がなかったため。また、海外調査を予定していたが、実施することができなかったため。 教師の自殺とバーンアウト、レジリエンス、ソーシャルサポートに関する本調査を実施し、データの整理を進める。また、バーンアウト経験者への面接調査を行い、テープ起こしなどによるデータの蓄積を図る。 当該年度に実施できなかった海外調査を9月と3月に実施する。
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