2014 Fiscal Year Research-status Report
トラウマの筆記による心身の健康・高次認知機能増進に関する認知行動・脳科学的研究
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25380932
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐藤 健二 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 教授 (10318818)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 筆記開示 / トラウマ / マインドフルネス / 心身健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1の研究目的は,トラウマの筆記開示において,筆記内容の変化と,心身の健康およびワーキングメモリ(WM)の変化との関連を検討することであった。大学学部生515名を対象に出来事インパクト尺度(IES)日本語版を施行し,外傷後ストレス反応(PTSR)について中程度以上であり,実験協力の意思を表明し,実験参加の同意を取得した22名を実験参加者とした。1ヶ月フォローアップまで完遂した14名(構造化開示群6名,自由開示群4名,統制群4名)の内,トラウマについて筆記した構造化開示群,自由開示群について,セッション1と3の内容分析を行った。その結果,自由開示群においては,洞察語(「理解した」など)の増大とWMの増加,因果語(「なぜなら」など)の増大とIESの下位尺度である「回避」の低減に関連があることが示唆された。これらから,先行研究同様に,洞察語や因果語の増大が心身の健康およびWMの変化と関連があることが示唆された。 第2の研究目的は,PTSRとマインドフルネス傾向との関連を検討することであった。大学学部生480名を対象にIES日本語版,マインドフルネス傾向を測定するFFMQ(Five Facets Mindfulness Questionnaires)日本語版,アクセプタンスを測定するAAQ-II(Acceptance and Action Questionnaire-II)日本語版,TAC-24 (3次元モデルに基づく対処方略尺度)が施行された。パス解析の結果,マインドフルネス傾向の中でも「判断しない」と「意識した行動」の因子は,アクセプタンスを増加させ,アクセプタンスが回避型コーピングを減少させ, PTSRの回避症状を減少させることが示された。この結果からは,マインドフルにトラウマに直面することによって,その反応を低減させることが可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全体的には,最大の目的である筆記開示の内容分析も進んでいる。しかし,内容分析にリソースを配分した結果,予定されていた機器の選定・購入,それに基づく実験については進んでおらず,「やや遅れている」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究成果に基づき,認知的変化を促進する構造化開示を開発,その効果を検証する。その研究に必要な機器について,専門家にヒアリングを行い,研究遂行に必要な機器の選定・購入を行う。
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Causes of Carryover |
研究の主たる目的にリソースを配分した結果,脳血流量の測定機器(約100万円)と,関連の機器・備品について,機種の選定・購入を今年度に行うことが出来なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に,脳血流量の測定機器(約100万円)に関して,機種の選定と購入,それを用いた実験を行う計画である。
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Research Products
(3 results)