2015 Fiscal Year Annual Research Report
唾液中生化学成分を生物学的基盤とする大学生のなまけ傾向スクリーニング尺度の開発
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25380936
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Research Institution | Sapporo International University |
Principal Investigator |
橋本 久美 札幌国際大学, 人文学部, 准教授 (30438410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜上 尚也 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (70221504)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | なまけ傾向尺度 / 先のばし因子 / 無気力因子 / 唾液中セロトニン濃度 / POMS / 抑うつ / 脳波 / メンタルストレス実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は集積されたデータをもとに「なまけ傾向尺度」の標準化を終え、学業面・健康面・認知面との関連性を確認しその成果は学会誌に掲載された。更に「なまけ傾向尺度」と大学生の日常の生活習慣との具体的な関連についての研究結果を国際学会で発表した。また、「なまけ傾向尺度」の『先のばし』『無気力』因子をもとにクラスター分析を行い、4クラスターを得た。低先のばし・低無気力である第2クラスター群は学業生活に適応しているが、高先のばし・高無気力である第4クラスター群は、学習集中力が低く、情緒も不安定である結果が得られた。従って「なまけ傾向尺度」が学業不適応状態者の抽出するための客観的指標となる可能がある。また、生理的指標による心的状態の反映について、メンタルストレス実験での唾液中セロトニン濃度及び脳波の変化での検討を行った。唾液中セロトニン濃度と気分の変化での比較では、ネガティブな気分の得点が実験直前に比べ実験後には上昇していた。実験直前と終了5分後の唾液中セロトニン濃度の差は、実験後のPOMSのD得点と負の相関があった唾液中セロトニンは、精神状態を示す生物学的指標となる可能性がある。一方で、実験後の唾液中セロトニン濃度は増加したため、中枢系セロトニンで推測される傾向とは異なる結果となり今後検討の必要がある。脳波と気分の変化の比較では、全被験者において、課題前のPOMS抑うつ-落込み得点と回復期後のα3波(分散緊張状態)との間に有意な負の相関が認められた。課題前後でのα2波の増加者は6名、減少者は7名、変化なしが1名であった。従って、増加した被験者には課題の心理的負荷が十分でなかったと推測される。今後は実験条件を再検討し、ストレス課題によって唾液中セロトニンと脳波の一致した結果が得られるようになれば、「なまけ傾向」の高い学生の心的-生物学的な特徴が確認できると考える。
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Research Products
(6 results)