2014 Fiscal Year Research-status Report
恥感情の破壊的側面を規定する要因の検討―道徳的感情としての機能促進のために
Project/Area Number |
25380940
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
佐伯 素子 聖徳大学, 心理・福祉学部, 准教授 (80383454)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 恥感情 / 気質 / BAS/BIS / 反すう / 思考抑制 / 抑うつ / 怒り |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,恥感情の制御不全によって起こる危険性について検証し,そのメカニズムを解明し,道徳的行動への動機づけとしての機能を働かせるための要因について明らかにすること目的としている。 平成25年度に調査を実施した恥感情と感情強度特性,感情制御方略との関連を検討した結果を平成26年度に公表した。罪悪感特性では負感情だけでなく正感情強度も強く感じる傾向が認められたが,恥感情特性では負感情のみ強く感じる傾向をもっていた。負感情強度特性により他者表情認識の偏向の可能性も考えられるため,恥感情特性と表情認識との関連,また,向社会的行動と結びつく共感性や恥感情特性とのつながりが検討されている完全主義傾向との関連も加えて検証した。その結果は,平成26年9月,平成27年3月の学会にて公表した。 平成25年度に調査を行った恥感情と感情制御方略との間には,予想したよりも明確な関連が認められなかった。恥感情は内省的に評価して生じる感情であり,自責的思考に没頭しやすいため,恥感情そのものの制御ではなく,恥にまつわるネガティブな思考の制御がその後の結果を左右する重要な要素となる可能性が考えられた。そこで,恥感情から怒りや抑うつに至るまでの過程に,ネガティブ反すうや思考の制御に関する要因を中心にそえたモデルを再設定した。また,恥感情特性形成の要因として動機づけシステム,行動活性化/行動抑制システム(BAS/BIS)をとりあげ,それらシステムの感受性の違いが恥感情を強く感じる傾向を高め,思考の偏向をもたらす要因になっていると考えた。恥感情と動機づけシステム,反すう,思考抑制,怒り,抑うつの一連の流れを想定し,新たな仮説モデルに基づいて,質問紙調査を実施し,統計的解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書通りに進んでいる。仮説モデルの再検討も行い,その仮説モデルに基づいて,新たな変数を加え質問紙調査も実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の終わりに実施した質問紙調査の結果を分析し、秋の学会にて公表する。平成27年度は最終年にあたるため,恥感情が怒りや抑うつに至るまでの過程を明確にし,ネガティブな思考をうまく制御する方法について検討する。制御する方略を使用し,実際に恥感情と怒りとのつながりを低減していくことができるか検証し,結果を国内学会にて公表する。
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Causes of Carryover |
物品を予定した金額よりも安価で購入することができたため、その差額が少額ながら生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年にあたるため公表のための事務処理等に使用する。
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