2014 Fiscal Year Research-status Report
コンパッション・セラピーによる認知行動変容の比較文化研究
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25380944
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
有光 興記 駒澤大学, 文学部, 教授 (10341182)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セルフ・コンパッション / コンパッション / 比較文化 / 不安 / 抑うつ / 社交不安症 / 慈悲の瞑想 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,コンパッション・セラピーに関する日米比較文化研究を行った。アメリカのボストン大学に所属し,不安障害センターのHofmann教授の指導の元,Hofmann教授が考案した慈悲の瞑想プログラムに基づき,アメリカでコンパッション(慈悲)の瞑想の臨床試験を実施し,完了した。また,コンパッションと文化的自己観,幸福感,社交不安症,うつ傾向の関係に関して,以下のような調査研究を日米で行った。 方法 参加者 成人250名程度(日本,アメリカ在住者)。 手続き Web上で,Self-compassion Scale(Neff, 2003; 有光, 2014),Compassionate Love Scale(Sprecher & Fehr, 2005),Differential Positive Emotions Scale (Shiota et al., 2006),Trait Guilt Scale (Onishi, 2008),Rosenberg自尊心尺度(10項目, 5件法;山本他, 1982),相互独立的―協調的自己観尺度(Markus & Kitayama, 1991),Social Anxiety Questionnaire for adults (Vicente et al., in press),Taijin Kyofusho Scale (Kleinknecht et al., 1997),ベック抑うつ尺度(Beck et al., 2003),Satisfaction With Life Scale (Diener et al., 1995),Interdependent Happiness Scale (Hitokoto & Uchida, 2015)等を実施した。 結果 セルフ・コンパッション,コンパッション・ラブ,ポジティブ感情が日本人よりもアメリカ人の評定値が高いなど,予測に従った結果が得られている。一方,コンパッションと抑うつ,社交不安といった精神疾患の関係には文化的な違いはなかった。現在,さらに詳細について分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は,コンパッション・セラピーに関して日米の比較文化研究を行う予定であった。申請者は,1年間ボストン大学に所属し,現地のHofmann教授と共同で慈悲の瞑想の臨床試験と比較文化調査を行った。これは,当初の予定通りであり,計画の進行は順調と言える。また,平成27年度に行う予定の慈悲の瞑想に関する臨床試験についても,すでに計画され,マニュアルや質問紙も準備されており,日本における研究を進めていく段階に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
目的 アメリカで実施したコンパッション(慈悲)の瞑想プログラムの効果を日本で検証する。 方法 参加者 プログラム参加に応募した社交不安症の診断基準を満たす60名程度。電話,面接によるスクリーニングを行い,待機群(60名)を設け,ランダムに配分する。 手続き 平成26年度にアメリカで実施したコンパッション(慈悲)の瞑想プログラムを実施する。その他は,6-8名のグループで実施することやプログラムの前後で指標を測定することなど,平成26年度にアメリカで実施した同様のプログラムと効果の違いを統計的に検討できるようにする。 結果の予測 コンパッション(慈悲)の瞑想プログラムは,日米でともに効果があると考えられる。日本は自己批判傾向が強いため,プログラムにより変容しやすい可能性がある。なお,Hofmann教授には,本年6月の精神神経学会での来日予定に合わせて,日本感情心理学会でセミナーを開催していただく予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度は,比較文化研究のために,Web調査の費用がかかったこと,消耗品,旅費が予定よりもかかったことから,前倒請求を行った。しかし,Web調査の支払いが3月になり,帰国した関係で消耗品,旅費の申請は4月になったため,前年度に予算を消化することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年4月末現在,web調査費用,消耗品,旅費については,支払い請求済みとなり,やや遅れてではあるが計画の通りに使用される予定である。今年度は,リサーチ・アシスタントの雇用を計画しており,その人件費で多くを使用する予定である。他には,論文の英文校閲にも予算を使用する予定である。
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Research Products
(6 results)