2015 Fiscal Year Annual Research Report
同一質問紙法検査の紙筆版とWeb版の心理統計的等価性の検討
Project/Area Number |
25380955
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
塩谷 亨 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (20278097)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心理検査の等価性 / Web版と紙筆版 / 質問紙 / インターネット / CEAPS / ストレスチェック |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,前年度に完成させて,データを取得したCEAPSのWeb版と紙筆版のデータを分析することから始め,産業・組織心理学会で2演題を発表した。 両版の尺度水準,通常の49項目の水準,および,5項目の危機項目の水準の等価性に関して検討したところ,Web試作版の場合と同様,Web版でも紙筆版と心理統計的にほぼ同じであることを示した。したがって,CEAPSに限っては,Web試作版,および,Web版においては紙筆版と等価であるという確証が得られた。 さらに,関連文献を検討していく中で,インターネット版と紙筆版の比較で有意差を見出している研究では,インターネット実施の場合,実施環境が比較的自由である場合が多いことがわかった。したがって,心理検査の紙筆版とWeb版の本質的な違いがあるわけではなく,実施の際の回答者の構え(set)が大きな影響を与えている可能性が高いと思われる。 さらに,前年度に明らかになった労働者の年齢層とストレス反応の関係の研究がほとんどない状況を踏まえ,某自治体職員にCEAPSを悉皆的に実施したデータ(947票)から適切な463票のデータを対象に,年齢層と性別を要因とした厳密な分析を行った。20代,30代,40代,50代以上の年齢層に分け,性別と合わせて分析したところ,男性では年齢とともにほとんどの尺度で上昇し,50代以上で下降する,逆U字型になるのに対して,女性では,ほとんどの尺度で,若年層である20代,30代が一番高く,40代から年齢とともに下降していくパターンが明確になった。職場のストレスの年齢層別の変化のパターンが性別によって異なることが明らかになった要因を特定することは難しいが,事実を明確に示した意義は大きいと思われる。
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