2013 Fiscal Year Research-status Report
実存的グループ療法によるがん患者の心理的苦痛改善プロセスと無効例の検討
Project/Area Number |
25380960
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
河瀬 雅紀 京都ノートルダム女子大学, 心理学部, 教授 (70224780)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 臨床心理学 / 癌 / 心理療法 / 実存的苦痛 |
Research Abstract |
我々は、がん患者286名に実施したニーズ調査を基に、実存的苦痛・スピリチュアルペインに焦点付したグループ療法プログラム(河瀬ら:がん患者 グループ療法の実際:金芳堂.2009)を作成した。本研究では、乳がん患者を対象にこのグループ療法プログラムを用いて有効性を確認するとともに、心理的苦痛が改善するプロセスを明らかにし、また、グループ療法の効果が乏しい群についてその要因を明らかにすることを目的としている。 平成25年度は乳がん手術後1年以内の患者を対象にグループ療法を実施し、POMS短縮版、SELT-M、MAC、日本語Big Five尺度を用いて、プログラム実施前後および実施1か月後に評価を行った。その結果、MAC「絶望感」が高い群では本プログラム実施前後でSELT-M「全体QOL」が改善し、その効果は1ヶ月後も持続した。一方、MAC「回避」低群では実施1か月後にSELT-M「全体QOL」の改善がみられたが、MAC「回避」高群では効果がみられなかった。すなわち、MAC「回避」高群では実施直後にSELT-M「全体QOL」の改善傾向がみられたものの実施1か月後にはその効果がみられなかった。この結果について、日本サイコオンコロジー学会等の学術会議にて発表を行った。一方、「回避」の対処行動がみられる群で介入効果が持続しなかった要因を探るため、独立変数として反芻スタイル尺度、不確実さ不耐性尺度(SIUS)を加え、またグループ療法実施のための乳がん専門クリニックを新規に準備し、研究実施許可を得るため、研究倫理審査委員会への申請を準備している。 なお、本研究の過程で得られた知見をもとに、サイコオンコロジーおよび倫理的問題に関する課題をそれぞれ著書(分担執筆)に記した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象者の募集は研究実施施設での診療体制の変更や手術件数等により影響を受けるため、当初予定していた対象者数を集めることが難しくなり、グループ療法実施のグループ数が予定よりも少なくなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
新たに1つの医療機関とも研究実施に関する調整が済み、研究倫理審査委員会への申請を準備する段階となっているため、当初の研究計画について継続が可能となっている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査実施(グループ療法)回数が予定よりも少なかったことおよび研究成果の発表(学術集会での発表)を行った会場が近隣であったため。 次年度は、調査実施回数を増やす予定であり、また、研究成果の発表もさらに精力的に行う予定で、それには海外発表も予定しているため、今回生じた次年度使用額は消費される予定である。
|