2015 Fiscal Year Annual Research Report
若年者の自殺予防とストレスコーピング能力向上法の検討
Project/Area Number |
25380965
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
小野 久江 関西学院大学, 文学部, 教授 (40324925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 農亜 近畿大学, 医学部, 講師 (90460914)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カウンセリング / ストレス / 抑うつ状態 / 対人関係カウンセリング / 光トポグラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、カウンセリングにより若年層のストレスコーピング能力を向上させ、抑うつ状態の改善・自殺予防につなげることを目的として行った。研究方法は、20歳・30歳代の健常人30名を対象とし、対人関係カウンセリング(Interpersonal counseling: IPC)または通常の支持的なカウンセリングを行い、それぞれのカウンセリングの有用性の相違を調べた。評価法としては、心理検査(質問紙評価尺度など)と生理検査(光トポグラフィなど)を用いた。 2015年度には9名の対象者を追加し、前年度までの対象者と合わせた26名(IPC群:16名、通常の支持的なカウンセルング群:10名)のデータ解析を行った。その結果、2種のカウンセリング群間で、ストレスコーピング能力の評価尺度であるCISSの3種のストレスコーピング得点(課題優先対処得点、情緒優先対処得点、回避優先対処得点)は、カウンセリングの前後で有意な違いを統計学的に示さなかった。しかし、IPC群では課題優先対処得点が増加し、通常の支持的なカウンセリング群では減少が見られた。また、抑うつ状態の評価尺度であるSDS合計点は、IPC群のみで有意な低下が見られ、IPC群が抑うつ状態を改善することが推測された。さらに、光トポグラフィで測定したOxy-Hb変化量の解析より、前頭前皮質活動はIPC群と通常の支持的なカウンセリング群で違いが生じる可能性が示唆された。 これらより、ストレス対応方法に関して具体的な教育的指導を行うIPCは、ストレス対応方法を論理的に変化させ、その結果、抑うつ状態を改善させる可能性が考えられた。さらに、その背景には前頭前皮質活動が関与していることが推測された。今回の検討は、対象者数も少なく探索的であったことから、今後は対象者数を増やしてより詳細な研究を行う必要がある。
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