2013 Fiscal Year Research-status Report
アタッチメント理論に基づく親子関係支援方法の開発と効果検証
Project/Area Number |
25380967
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
北川 恵 甲南大学, 文学部, 教授 (90309360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
数井 みゆき 茨城大学, 教育学部, 教授 (20282270)
工藤 晋平 京都大学, 学際融合教育研究推進センター, 准教授 (70435064)
松浦 ひろみ 京都女子大学, 発達教育学部, 准教授 (70314169)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アタッチメント / 親子関係支援 / 臨床心理学 |
Research Abstract |
4~6月に親子関係支援への参加者募集を行った。子どもとの関係を振り返りたい動機づけをもつ親と乳幼児の7組が支援に参加した。途中で1組は母親の体調不良で継続不能となり、6組の親子が全プログラムに参加した。 7~1月に毎週の頻度で支援の実践を行った。COSPプログラム日本語版(全8回;心理教育を中心とする内容)、ビデオ振り返りプログラム(全6回+追加3回;参加者自身のビデオ視聴と内省的対話を中心とする内容)を行った。 支援の効果検証として、①介入前(7月)、②COSPプログラム終了時(10月)、③ビデオ振り返り全6回終了時(12月)の各時期に、親子関係の評価を次の方法によって行った。(a)ストレンジ・シチュエーション法(SSP)(子どものアタッチメントを測定する観察法;①②③の時期に実施)、(b)成人アタッチメント面接(AAI)(成人のアタッチメントを測定する面接法;①に実施)、(c)COSインタビュー(COSI)(親の内省能力や自他表象を測定する面接法;①②③に実施)、(d)アタッチメント投映法(PARS)(アタッチメントを活性化する刺激画への自由な物語作成課題を通してアタッチメント表象を測定する投映法;①②③に実施)、(e)PSI育児ストレスインデックス日本版(PSI)(親の自己評定による親としてのストレスや子どもについてのストレスを測定する質問紙法;①②③に実施) 以上の測度を用いながら、心理教育中心のCOSPプログラムの段階で認められる効果(時期①と②の比較)、内省的な対話に比重をおくビデオ振り返りプログラムの段階で認められる効果(時期①、②、③の比較)について検討した。現時点では、①の時期の分析が完了しており、介入前の時点で親子関係の問題の程度に個人差があった。支援のどの段階で効果が認められるかは、介入前の問題の程度によるという仮説に沿って各時期の分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では各年度定員8組で支援を行う予定であったが、平成25年度は6組の親子が全プログラムに参加した。実際には、内省的な対話を伴う親グループとしては6組が適正人数であり、平成26年度以降は定員6組で実施したい。そのため、効果研究のために必要なサンプルサイズ(20組)をそろえることには予定より時間がかかる見通しとなった。研究計画では、毎年8組の親子への支援を3年実施し、補助事業最終年度の4年目は総合的な分析と成果の発表のみの予定であったが、毎年6組を対象として4年かけて実施し、分析や成果の報告もできるだけ各年度に取り組んでいきたい。 実際に、各時期における多面的な親子関係の測定は順調に実施できており、分析も順調に進んでいる。結果の速報も平成26年度の学会で順次発表できるよう、発表申し込みが採択されている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度も、平成25年度と同様のスケジュールで研究を進める。 加えて、平成25年度参加親子の、④介入終了半年後(6月)における親子関係の評価を行う(SSP、AAI、COSI、PARS、PSI)。 このように、毎年の参加親子に対して、①介入前(7月頃)、②COSPプログラム終了時(10月頃)、③ビデオ振り返り全6回終了時(12月頃)、④介入終了半年後(6月頃)の時期に親子関係の評価を行って比較することで、心理教育を中心とする介入による効果、ビデオ振り返りと内省的対話を中心とする介入による効果、介入効果の持続性の検討を行う。2種類の介入による効果の違いについては、参加親子の特徴(親子関係の問題の深刻さなど)との関連からも検討する。 アタッチメント理論に基づく親子関係支援の方法として、文化的な考察も行う。心理教育を中心とするCOSPプログラムを、日本の親子関係支援者たちに紹介し、事例検討会を継続的に開催することで、その有効性や課題を検討する。日本の子育ての実際問題に即した心理教育の内容を検討するなど、日本版の支援方法を洗練させていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者との打ち合わせ旅費については、学会などの機会を活用して会合をもったり、スカイプを活用したりすることができたため、当初の予定より経費を要さなかった。物品については、鍵付き保管庫などが所属機関の既存のものを活用することができた。 インタビューが当初の予想より長時間かかることがあり、テープ起こしやデータ入力のための謝金が、当初の計画よりも必要であることがわかった。そのため、平成26年度繰り越しとなった助成金は、主に謝金に使用を計画している。
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Research Products
(8 results)