2014 Fiscal Year Research-status Report
小学校教諭に実践可能なストレスマネージメント技法の開発に関する研究
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25380973
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Research Institution | Fukuoka Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
大野 博之 福岡女学院大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (00037037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奇 恵英 福岡女学院大学, 人間関係学部, 教授 (40412689)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 学校ストレスマネージメント / 主動型リラクセイション療法 / ひとりサート / 自体感 |
Outline of Annual Research Achievements |
中学校1校を対象に、全学年、全クラスに対して8か月間定期的にひとりサートを実施、学校全体で取り組む際の課題と導入及び実施方法を検討するための予備調査を行った。ストレス尺度及び自体感尺度、実施を終えて振り返りの感想の自由記述等、約500名のデータが得られ、分析中である。 小学校においては、特別支援学級を対象に、障害の違いによるストレス及びひとりサート実施の効果の相違等を検討するため、知的障害学級1クラス、情緒障害学級3クラスを対象に3か月間ひとりサートを実施、ストレス及びリラクセイション体験尺度をもって約60名のデータを得られた。それらを分析した結果、情緒障害学級が知的障害学級に比べ、有意にストレスが高かった。さらに、取り組みにおいては、知的障害学級に比べ、情緒障害学級時の個人差が大きく、効果において統計的には変化がみられなかった。しかし、個別的には、著しく行動やコミュニケーション、学習への取り組み姿勢の改善がみられる児童生徒が数名おり、その児童生徒たちはひとりサートへの取り組みに関しても積極的で意欲が高かったことが示された。 本研究の更なる展開として、学童保育におけるひとりサート実施とその効果の検証に取り組んだ。学童保育は地域支援、子育て支援、児童生徒のもう一つの学校生活の場として今後さらに重要な役割を果たすシステムであり、その内容を充実させる必要がある。そこで、学童保育に参加している児童生徒12名を対象に、ひとりサートを導入、予備調査を行った。1週間の実施で、データは十分得られなかったが、学童保育担当者からはニーズが高く、継続実施を求められた。今後さらに進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学校ストレスマネージメントとして、教諭が導入するには、学校のシステム、学校生活における時間的融通性、小学校・中学校という義務教育による学校生活の連続性などを考慮して、小学校を主な対象としているが、研究の展開の中で、中学校からも積極的な導入を求められたこと、小学校と中学校の連続性から発達的視点からの検討も今後の研究の発展から有意義であること、研究の発展目標として学校教育全般に取り入れられる有効なストレスマネージメントの方法を開発すること、などから、小学校の通常学級、特別支援学級、学童保育、中学校と幅広い実践とデータ収集が行われた。 すでにデータの分析とまとめが終了したものについては、有効性が認められ、現在分析中のものについては、今後の研究の展開、発展に有意義な示唆を与えることが予測されている。 以上のことから、研究は好調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
小学校の通常クラスでの効果は今までの研究成果から十分認められたので、特別支援学級で、特に情緒学級の場合、個別的にみられた著しい効果についてより客観的に、科学的に検証できるデザインを工夫、実践とデータ収集を行う。 学童保育については、新たに開発されたフィールドでニーズも高いことから、本格的に実践、データ収集を行う。 中学校については、全学導入の予備調査が終了したので、導入についての手続きや実施方法を確立する実践研究を行う。 これらをまとめることで、学校生活におけるストレスマネージメントとして、学校が導入しやすく、わかりやすい、その上、効果が認められる技法の提示を目指す。
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Causes of Carryover |
研究代表者の緊急入院のために、2015年3月に支出予定の予算が支出されなかったため、次年度に繰り越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の発展により、学童保育、中学校、小学校の特別支援学級等での実施が計画されているので、研究協力者への謝礼等が従来より必要である。
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