2014 Fiscal Year Research-status Report
in vivo蛍光イメージングによるバイオロジカル・モーション関連領野の同時計測
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25380975
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
谷 利樹 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (60392031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 浩 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20274748) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオロジカル・モーション / in vivo 蛍光イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
動物や人の関節または主要体部位のいくつかを光点で表し、それらの光点の運動からもとになった動物や人の動きを連想させるバイオロジカル・モーションと呼ばれる知覚現象が知られている。本研究提案では社会性に富み、バイオロジカル・モーション知覚に関わる大脳皮質の領域が表面に露出した小型の霊長類、マーモセットをモデル動物としてバイオロジカル・モーション知覚に関与している大脳皮質領野間の神経線維連絡と神経活動を明らかにする。本年度は視覚情報の運動成分の処理を担う背側経路に着目してMT野、MST野、FST野からバイオロジカル・モーション刺激に対する神経応答を調べた。計測にはMT野、MST野、FST野のすべての領域の神経活動を一度に記録することができる光学計測法を用いた。視覚刺激にはバイオロジカル・モーション刺激、バイオロジカル・モーションのコントロール刺激として各ドッドの位置をランダムに配置したもの、各ドッドの運動がスタートするフレームをランダムにしたもの、リーチングポーズを表すドットパターンが併進運動するものを用いた。光学計測の結果、MT野、MST野、FST野に相当する領域でバイオロジカル・モーション刺激とコントロール刺激に対する反応が見られた。MST野はリーチングポーズで併進運動する刺激に対して反応が弱かった。バイオロジカル・モーション刺激とコントロール刺激の間で反応領域に大きな違いはみられなかった。また、各刺激に対する反応強度を電気生理学的に調べたところ刺激間で明らかな違いは見られなかった。以上の結果から視覚情報の運動成分の処理を担う背側経路にはバイオロジカル・モーション刺激に特別な反応領域は存在せず、刺激の運動成分に対してのみ反応することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究機関の移動に伴い新たに実験設備の設置、立ち上げを行い時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでバイオロジカル・モーション刺激に対する反応が確認されている上側頭溝後部腹側領域と今回反応が確認された視覚情報の背側経路(MT野、MST野、FST野)との間における神経線維連絡を同定し、それらの領野間での神経活動を記録することによりバイオロジカル・モーション刺激に対するネットワークレベルでの情報処理を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究機関移動に伴い既存の設備の使用が可能となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
動物の購入とマルチ電極の購入費用および既存の設備の使用に際し追加で必要な周辺器具を購入予定。
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