2015 Fiscal Year Annual Research Report
認知的負荷が多属性意思決定に及ぼす影響の解明:生体信号・生理指標に基づく分析
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25380986
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
都築 誉史 立教大学, 現代心理学部, 教授 (70207421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 裕司 産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域・自動車ヒューマンファクター研究センター, チーム長 (10357410)
本間 元康 昭和大学, 医学部, 心理員 (20434194)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 意思決定 / 文脈効果 / 眼球運動測定 / 事象関連電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,認知的負荷が,非合理的な選択現象である多属性意思決定における文脈効果に影響を及ぼすメカニズムを,生体信号指標と生理学的指標を用いて解明することにあった。つまり,認知的負荷を与える状況で,2属性3肢選択意思決定課題を用い,眼球運動を詳細に測定し,事象関連電位における関連成分の変化を明らかにすることを目指した。さらに,実験参加者の血中グルコース濃度と唾液アミラーゼ活性を測定し,認知的負荷と認知資源の消耗やストレスとの関係を解明することを目的とした。 上記の研究目的は,眼球運動測定,事象関連電位測定,血中グルコース濃度測定において,平成26年度までにほぼ達成することができた。平成27年度には,2属性3肢選択意思決定における膨大な眼球運動データを,時系列的に属性レベルで分析し,その結果を国内外の学会で発表した。また,上記の実験・分析方法を知覚的意思決定課題に応用し,眼球運動と事象関連電位を測定した実験も行い,その結果を国際学会で発表した。 平成26年度は脳波測定に焦点を当てた。実験パラダイムとしてプローブ法を用い,視覚提示される主課題と並行して提示した聴覚刺激に対する事象関連電位の変化によって,主課題へ配分された認知資源を測定した。特に魅力効果条件で興味深い知見が得られ,平成27年度,国内外の学会で分析結果を発表し,英文学術雑誌に論文を投稿した。しかし,英文学術雑誌では不採択となったため,査読者のコメントを踏まえ,刺激材料を48項目に増やし,分析方法も修正し,実験参加者40名程度を目標にして,魅力効果条件の追試実験を開始した。現在12名の有効データがあり,後半のフェイズでは,コンペティター選択試行において,ターゲット選択試行よりも有意にP1-N1振幅が減衰し,主課題に多くの処理資源が配分されることが示唆され,仮説が支持された。
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