2013 Fiscal Year Research-status Report
顔印象の形成過程における意識的処理と無意識的処理の相互作用
Project/Area Number |
25380991
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
小川 洋和 関西学院大学, 文学部, 准教授 (90507823)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 顔処理 / 選好 / 視覚的注意 / 潜在的認知過程 |
Research Abstract |
本研究計画の目的は、対人印象を形成する認知過程の潜在的(無意識的)側面に着目し、そのメカニズムを解明することであった。本計画では特に視線方向を手がかりとしたインタラクション場面における顔印象の変容に焦点を当てた。潜在的学習パラダイムを応用し、潜在的認知要因を直接操作する新しい実験系を確立することによって、日常場面における印象形成過程を解明するための基盤となる研究知見を獲得することを目指した。 本年度は実験に用いる顔写真のデータベースの構築に取り組み、各種表情・視線方向の顔写真100名分の処理を行った。これによって今後の研究実施がスムースに進められるようになった。また研究成果として、当初想定していなかった様々な新しい現象が見いだされた。例えば、顔写真の魅力度を判断させる際に、隣に呈示された顔が影響を与えることがわかった。この影響は、2つの顔が長期的なパートナーであると教示されたときのみ生起し、二人が無関係あるいは単なる友人であると教示した場合には影響を及ぼさなかった。また、身体の画像と合わせて呈示した際に、顔画像に対する表情判断が阻害され、また顔に対する記憶に対しても干渉を及ぼすことが明らかになった。これらの結果は、顔に対する処理が独立ではなく、周囲に存在する文脈情報から意識的・無意識的に影響を受けていることを強く示唆している。これらの研究結果は、今後学会・学術論文などで発表し、さらに検討を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた潜在学習パラダイムを用いた新しい実験系の構築はほぼ完了した。顔評価の刺激要因・観察者要因の両方を組み込んだ印象形成メカニズムの定量的なモデル構築作業は遅れているが、顔刺激データベースを構築したことにより、今後の研究はスムースに進められると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始当初は予測していなかった新しい現象を発見したことにより、今後の研究展開が期待できる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験補助員に適任者が見つからず、当初予定していたよりも人件費が削減されたのが主な原因である。 4月から新たに補助員を3名雇用したため、その人件費に充てることとする。
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