2015 Fiscal Year Research-status Report
顔印象の形成過程における意識的処理と無意識的処理の相互作用
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25380991
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
小川 洋和 関西学院大学, 文学部, 教授 (90507823)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 顔認知 / 潜在認知過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の目的は、対人印象を形成する認知過程の潜在的(無意識的)側面に着目し、そのメカニズムを解明することであった。本研究では当初、特に視線方向を手がかりとしたインタラクション場面における顔印象の変容に焦点を当て、日常場面における印象形成過程を解明するための基盤となる研究知見を獲得することを目指していた。 昨年度の段階で、計画開始当初には様々な要因が顔の印象形成に影響を与えることが分かってきた。今年度は言語的なシナリオと顔画像を対呈示して学習させることによって道徳判断に関する顔印象を操作し顔知覚処理への影響を検討する実験を実施するなど、印象形成と顔認知処理の相互作用を明らかにするための研究を進めた。例えば、連続フラッシュ抑制法を使った実験では、モラル違反の情報(弱者に危害を加えた、など)を対呈示された顔は、フラッシュによる抑制から逃れるまでの時間が早いことが示され、無意識的な知覚過程においてもモラル違反の情報が処理に利用されていることが示唆された。この他にも、視覚探索課題や視線手がかり課題においても道徳違反に関するネガティブな印象形成の影響が認められた。 これらの研究結果は、今後学会発表・論文などを通して国内外に発表し、さらに検討を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画開始当初、予測していなかった実験結果も得られたが、おおむね順調に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
顔印象およびそれに関わる情動処理が、顔知覚処理やその後の意思決定過程においてどのような役割を果たしているのかを、今後明らかにしていく必要がある。
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Causes of Carryover |
申請当初の計画に沿って研究を進めていたが、いくつか予定外の実験結果が得られたため、その原因・メカニズムを解明するための実験を現在行うことになった。実験参加者の応募状況から、必要なサンプルサイズを確保した上で実験を行うために補助事業期間を1年延長することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に実験参加者への謝金および実験に必要な消耗品費に充てる。
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Research Products
(6 results)