2015 Fiscal Year Annual Research Report
記憶場面状況に応じたメタ記憶の機能に関する実験的検討
Project/Area Number |
25380992
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
清水 寛之 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (30202112)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 実験系心理学 / 記憶 / メタ記憶 / 記憶モニタリング / 記憶コントロール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、個人がさまざまな場面状況のもとで自らの記憶能力や記憶特性、知識状態をどのように認識し、そうした認識に基づいて記憶活動をいかに展開していくのかを明らかにすることである。メタ記憶に関連づけて、記憶に関するモニタリングとコントロールに焦点を絞り、認知心理学的方法を用いて研究を進めた。一般成人(大学生)を対象に、個人ごとに(1)実験室場面での記憶活動、(2)検査室場面での記憶遂行、(3)日常生活場面での記憶行動、の3点について、研究参加者自身による自己評価と客観的な課題成績基準または一般的記憶行動傾向との差異について検討した。 一般大学生92名が本研究に参加した。これらの研究参加者に対して同一の個人ごとに、記憶の実験(自由再生課題)、メタ記憶質問紙(日常記憶質問紙,EMQ;認知的失敗質問紙,CFQ;成人メタ記憶尺度,MIA)による調査、及び個別式記憶検査(改訂版ウエクスラー記憶検査,WMS-R;リバーミード行動記憶検査,RBMT)を実施し、記憶モニタリングの正確性と記憶コントロールの効果性に関する基準的なデータを収集した。 研究の結果、主に以下の知見が得られた。(1)実験室内記憶場面である自由再生課題において実験参加者に最終再生テストでの再生項目数の予測を求めたところ、実際の再生成績とは異なり、最終再生予測は再生試行の経過に従って過大予測から過小予測へと変化していった。(2)日常場面での記憶行動に関するEMQ, CFQ, 及びMIAへの回答データについては、ほとんどの質問項目群において正規分布に近いパターンが得られた。(3)個別記憶検査であるWMS-RとRBMTでは、ほとんどの検査項目で遅延再生の予測は過小予測であることが示された。(4)自由再生課題における最終再生成績と最終再生予測とのズレと、メタ記憶質問紙の因子ごとの平均評定値との間に相関関係は認められなかった。
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Research Products
(6 results)