2014 Fiscal Year Research-status Report
障害児者の認知機能評価と成長の可視化に関するアクションリサーチ
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25380995
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Research Institution | Hijiyama University |
Principal Investigator |
吉田 弘司 比治山大学, 現代文化学部, 教授 (00243527)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 障害者支援 / 認知機能評価 / 発達障害 / 知的障害 / 幼児 / コンピュータプログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,障害児者に関わる福祉現場に役立つ実験心理学の実践研究として,注意制御やワーキングメモリ,感覚運動協応など,認知心理学の知見に基づいた種々の課題を開発・応用して,障害児者の認知機能を定量的に評価し,日常的に彼らと関わるご家族や施設職員に対して,その成長の度合いを可視化することで情報提供を行うことを目的として実施している。 本研究で開発する認知機能評価課題は,NUI(natural user interface)と呼ばれる新たなインタフェースを用いたゲーム様課題であることが特徴で,障害児者は自分の身体の一部を直接使うことで,知的発達に遅れがあっても楽しむことができ,その記録をもとに,対象者の認知機能を評価したり,成長の様子を数値的にとらえることができるようになっている。 2年目にあたる平成26年度においては,平成25年度に開発したモグラたたき型ゲームを保育園,発達障害児支援施設,知的障害者入所・通所施設で実施した。その中で,幼児の注意機能の発達を評価するとともに,発達障害児がもつ注意機能障害を評価したり,知的障害をもつ成人であっても新たな課題を経験することで適応的に注意を配分できるようになることなどを示した。 また,重度心身障害児施設において,絵本の読み聞かせ時の子どもの視線運動をアイトラッカーを使って調べることで,一般の知能検査が使えない子どもの知的発達の様子を視線を手がかりに探り,その結果を保護者や施設職員と共有することで,施設職員の子ども理解を援助するとともに,子どもの発達に対する保護者の理解促進の試みを行った。 このほか,手指の運動制御の発達を調べるゲーム課題や,障害児者の表情をセンサで読み取ることで笑顔を作って遊ぶゲームなどを開発し,福祉機器展や施設の祭りでゲームコーナーを展示するなどの活動を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の特色は,NUIという人の手や身体をとらえる体感型センサを活用することで,知的障害児や発達障害児にも利用しやすい認知機能評価が可能なゲームプログラムを開発し,現場において応用することであるが,平成26年度においては,障害者支援施設や保育園等の協力を得ることができ,課題プログラムの開発に関しては,想定以上の進捗状況にある。 また,希望的な目標であった顔や表情を用いたコミュニケーションに関する認知発達機能評価プログラムについても,開発の目処がつき,現在は健常成人を対象とした基礎的な評価を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる平成27年度においては,本研究に関するWebページを設け,開発したプログラムを一般に公開するとともに,その有効性の評価を行う。また,現在プログラムが出力するデータは,多面的評価が可能である一方,多岐にわたる行動データであるため,行動実験データの分析スキルがないと分析が難しい。そこで,施設職員等が容易に分析ができるような分析モデルを作成し,プログラムと一緒に公開する予定である。
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Causes of Carryover |
緊急を要さない消耗物品の購入について,次年度に合算して調達することとしたため,3万6千円余りの未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度研究費が使用可能になり次第,前年度未使用分を含めた物品の調達を行う。
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Remarks |
本研究で開発した課題プログラムの一部を公開している。
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Research Products
(4 results)