2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25381001
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
串本 剛 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (60457835)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 雄貴 東京工業大学, 教育革新センター, 准教授 (50570090)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 学士課程教育 / 成績評価方法 / 学修成果 / 学修時間 / 形成的評価 / パス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、成績評価方法が大学生の学修に与える影響を検証してきたが、最終年度はとりわけ「形成的評価」に焦点を絞り、それが学修時間や学修成果に与える影響を、パス解析を使って分析した。 ここでの形成的評価は学習期間の途中で行う評価を意味し、具体的には学期末以外の時期に成績評価に必要な情報を把握するために課される課題を指す。それら課題のうち、教室内で実施する小テストや中間試験を「平常教室課題」、教室外で実施し提出する宿題や中間レポートを「平常提出課題」として区別し、それぞれの課題があることによる効果(経験の効果)と、課題の内容やフィードバックに基づく効果(質の効果)を比較した。従属変数には、「この授業で学習は充実していましたか?」(充実感)、「この授業を通して多くのことを学びましたか」(修得感)、「この授業のテーマや専門分野を、より深く学びたくなりましたか?」(触発感)の3問に対する5段階評価の結果を用い、形成的評価が授業外学修時間(長さと時間配分を考慮)を介して3つの認識にどう影響するかを見た。 結果として、(1) 形成的評価による学修成果の認識への影響は、その経験よりもむしろ質の側面に依存する、(2) 形成的評価の影響は学習成果の側面に従って、修得感、充実感、触発感の順に小さくなる、(3) 授業外学修時間はその長さによって修得感を、均等な配分によって充実感を高める、等の点が明らかとなった。ただし、その影響力は決して大きいものではなく、初・中等教育で言われているほど形成的評価が学習を促すわけではない可能性もあるため、調査対象を拡げるとともに授業科目の類型を考慮した分析が今後求められる。
|