2014 Fiscal Year Research-status Report
思考力・判断力・表現力を育成する対話活動における「聞く」意味に関する実証的研究
Project/Area Number |
25381023
|
Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
木下 百合子 大阪教育大学, 教育学部, 名誉教授 (10169914)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 授業対話 / コミュニケーション / 協同学習 / 思考力 / 判断力 / 表現力 / グループ学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、授業でのコミュニケーション過程において、生徒が教師や級友の話を「聞くこと」が、生徒の思考力・判断力・表現力の形成に与える影響を明らかにしようとしている。平成25年度は、先行研究の文献研究と、実証的研究として主に大阪市・大阪府下の中学校で授業参観し、ビデオに撮影し、プロトコールを作成した。平成26年度は、この成果に基づいて、次のことを実施した。 理論的研究の継続として、平成25年度に確認したライプチヒ大学のコミュニケーションに関する研究成果を吟味した。また日本教育学会第73回大会に参加し、コミュニケーション研修に関する知見を得た。そして、平成25年度の成果としてあげた仮説、すなわち話し合いの過程の「聞くこと」と「話すこと」の関連、「聞くこと」と「考えること」の関連は、話し合いのテーマと関係しているという仮説の有用性を確認した。 実証的研究として、25年度に引き続き授業を参観し、ビデオ撮影し、プロトコールを作成した。25年度の成果として挙げた上述の仮説を意識して、プロトコールの分析を行った。大阪市・大阪府以外の学校として、聖籠町立聖籠中学校、上越教育大学附属小学校、信州大学附属松本小学校などで、教科以外の道徳などの授業も参観し、話し合いのテーマの多様性を確認した。また福岡教育大学附属久留米小学校でICTを活用した授業と思考活動の関連を観察することができた。そして、本研究の中間成果として、授業における言語使用について、論文「授業でことばを効果的に使うための標識」(Indicators for Using Language Effectively in the Classroom)をまとめ和文と英文で発信した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論研究として、「聞くこと」(情報受容)と「考えること」の関連についての知見を得ることができた。実証的研究として、授業での話し合いのテーマと関連付けて「聞くこと」と「話すこと」の関連、「聞くこと」と「考えること」の関連を分析することができた。国際学会での発表はできなかったが、ソウル教育大学と交流し、ソウルの小学校の授業を参観した。また論文「授業でことばを効果的に使うための標識」(Indicators for Using Language Effectively in the Classroom)を発信できた。また教師と生徒へのインタビューは、授業参観後、および授業協議会で行うことができたので、アンケートを実施する必要はないと判断した。以上のことから、当初の計画を大きく超えて進展することはなかったが、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、本研究課題の最終年度となる。それゆえ、一つには、これまでの理論的研究をまとめることが必要である。第2には、さらに多くの授業を参観し、実証的データを収集することも課題である。昨年度、国際学会への参加ができなかったので、できれば本年度は実現し、研究成果を確認したい。そして、3年間の研究成果を整理し、報告書にまとめる予定である。
|