2013 Fiscal Year Research-status Report
アメリカにおける連邦・州・学区の教師の資質向上方策に関する総合的研究
Project/Area Number |
25381036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
赤星 晋作 広島市立大学, 国際学部, 教授 (80175778)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 教師の資質能力 / 教師教育の高度化 / 教員養成 / 教師の取得学位 / 高度な資格を有する教員 |
Research Abstract |
具体的な学区(州)の資質能力の向上方策を探る前に、まずその背景として連邦レベルにおいて歴史的に「教師教育の高度化」という側面からその動向を探った。 アメリカにおいて「教師教育の高度化」が強く主張されたのは、1983年『危機に立つ国家ー教育改革への至上命令』以降である。これを契機として、教師教育の改革が展開される。その中で強いインパクトを与えたのが、『備えある国家ー21世紀の教師』と『明日の教師』である。ここで強調されている点は、専門職としての教職を確立しようということであり、そのために、教員養成を大学院レベルにまで引き上げ、そこでの教育内容は専門家としてふさわしく実際の教育問題に対処できるような実践的な内容を伴ったものである。 そこで、実際アメリカの学校教師の取得学位の動向を調査してみると、学士号教師の割合は2006年には37.2%までに減少している。それに比して、修士号取得者の割合は年々増加し2006年には60.4%となっている。さらに、それを年齢別(2007/08)にみてみると、30歳未満では学士号教師70.1%に対して修士号教師28.0%と圧倒的に学士号教師が多い。しかし、年齢が30-39才ではその比率は46.8%対46.1%、40-49才では43.7%対47.3%、50-59才では38.4%対50.4%と,年齢とともに修士号教師の割合が高くなり、その比率は逆転する。 これらのことから、教員養成を大学院レベルに引き上げていこうとする動きはあるものの、一般的には学部を卒業し学士号を取得し教職に就き、その後単位や上級の学位を取得していくということがわかる。 こうした調査を踏まえて、NCLB法の「高度な資格を有する教員」(Highly Qualified Teachers)に注目し、ペンシルベニア州・フィラデルフィア学区を訪問し、資料収集・分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の計画は、具体的な学区(州)の資質能力の向上方策を探る前にその背景として、連邦レベルにおける政策動向を探ることであった。そのために、NCLB法における「高度な資格を有する教員」に関する資料を収集し分析してきた。しかし分析していく中で、その前に、アメリカにおける「教師教育の高度化」という観点から特に『危機に立つ国家』以降の動向を探る必要があった。このような歴史的な流れの中で、最近の連邦レベルにおける政策をみていくとより分かりやすくなる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、NCLB法の「高度な資格を有する教員」の背景としての「教師教育の高度化」という側面からの歴史的な調査研究が中心であった。平成26年度は、NCLB法における「高度な資格を有する教員」に焦点化し、それが具体的な州・学区(ペンシルベニア州フィラデルフィア学区)においてどのように展開されているのかを探るために、平成25年度収集の資料を分析し、さらに不明な点を明らかにするために再度フィラデルフィア学区を訪問する。そして、必要な資料収集、インタビュー調査等を実施し、NCLB法「高度な資格を有する教員」に関する論文をまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
出張旅費(特に海外)の予想額がはっきりしなかったことから、平成25年度購入予定のモバイル型パソコン、カラーレーザープリンターの購入を控えた。また海外旅費の内、学内規程により宿泊料や日当が決められており、実際は(学内)規程額より高額(例えばアメリカ・フィラデルフィアでは、通常1泊の宿泊料は2万円前後である)を支払うため、旅費支出は実際より少額が示されている。 次年度は、平成25年度購入予定だったモバイル型パソコン、カラーレーザープリンターの等の購入を考えている。
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