2014 Fiscal Year Research-status Report
アメリカにおける連邦・州・学区の教師の資質向上方策に関する総合的研究
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25381036
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
赤星 晋作 広島市立大学, 国際学部, 教授 (80175778)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 教師教育の高度化 / 教師の資質能力 / 高度な資格を有する教員 / NCLB法 / アメリカの教師教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカにおいては、2002年より「落ちこぼしのない教育法」(No Child Left Behind Act of 2001 = NCLB法)が施行された。NCLB法といえば、学力向上、学力テストの得点による教育アカウンタビリティのみが注目されがちであるが、一方で教師の資質向上についても強い関心を示し、「高度な資格を有する教員」(Highly Qualified Teachers = HQT)の確保についても述べている。 そこでNCLB法の「高度な資格を有する教員」に関する規程を調べ、その規程に基づいたペンシルベニア州における「高度な資格を有する教員」の資格要件を探った。そして、具体的に学区レベルでみていくために、ペンシルベニア州・フィラデルフィア学区( School District of Philadelphia)を中心に「高度な資格を有する教員」の観点から、学区の教員の実態、具体的な教師の資質向上のための方策、それらの成果と課題を明らかにした。 学区全体においては正規の免許を有する教員かインターン免許を有する教員(ペンシルベニア州における「高度な資格を有する教員」)の学区全体に占める割合は、2005年秋には93.3%、さらに2006年秋には95.3%に上昇している。またそれと関連して、正規免許及びインターン免許所有の新採教員の割合は2005年秋には83%、さらに2006年秋には92.4%に達している。しかしそれはNCLB法がいう「すべての教員」ではなく、更なる取り組みが求められる。 また幾つか課題もあるが、その中でとりわけ優先される事項は、すべての学校に平等に資格ある教員を配置することである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の計画は、昨年度収集したNCLB法「高度な資格を有する教員」(Highly Qualified Teachers = HQT)の更なる分析であり、それが州レベル、学区レベルでどのようなインパクトを与え、それによる成果と課題を探ることであった。この点から、ペンシルベニア州及び州内の代表的な学区であるフィラデルフィア学区を中心にして、それらを明らかにした。ただ計画では、ペンシルベニア州・フィラデルフィア学区1つに限らず、他州の学区も調査する計画であったが、フィラデルフィア学区の分析に追われてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25・26年度教師のアメリカにおける資質向上方策という観点から、連邦法NCLB法、それのペンシルベニア州及びフィラデルフィア学区へのインパクトを調査研究してきた。これから、ペンシルベニア州、フィラデルフィア学区を対象にした更なる調査分析、そして他のもう1つの州、学区を調査したい。また、今まで調査研究してきたアメリカにおける事例とわが国における資質向上方策、その動向(中教審答申「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について」(2012年)等)を比較考察し、実践(導入)に向けた幾つかの示唆を得たい。
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