2013 Fiscal Year Research-status Report
理論と実践をつなぐリアリスティック教師教育の導入と効果に関する研究
Project/Area Number |
25381048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
武田 信子 武蔵大学, 人文学部, 教授 (00247123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 博之 大妻女子大学, 家政学部, 准教授 (40365052)
坂田 哲人 青山学院大学, 情報メディアセンター, 助手 (70571884)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / オランダ / 南オレゴン大学 / リアリスティック・アプローチ / Fred Korthagen / リフレクション / ヨーロッパ教師教育学会 / 教師教育 |
Research Abstract |
平成25年度はリアリスティック・アプローチの導入に関して、3つの調査研究を並行して実施した。(1)海外:南オレゴン大学の教員養成におけるリアリスティック・アプローチの展開を実地調査し、日本の大学への導入を検討した。中心となる教員が継続した勉強会を開催して実績を積み、同僚の関心を得て徐々に実践に取り入れていく手法の効果と限界が明らかになり、日本への導入に際しての示唆を得ることができた。(2)国内:神奈川県相模原市の3小学校の教員研修に、リアリスティック・アプローチの導入を図り、その展開を整理した。学校長と研修者との関係性、学校風土などにより、導入の手法や条件を変化させる必要があり、今後の導入のためのポイントがまとめられた。(3)オランダの1980年代の教師教育改革実践を当時の関係者であるウィム・ウェスターマン氏にアムステルダムにおいてヒアリングし、日本へのリアリスティック・アプローチの導入方策を検討した。上記3調査に関しては、武蔵大学総合研究所紀要第23号に論文を執筆し、現在印刷中である。 また、平成24年3月23日(日)に武蔵大学において本年度研究の公開報告会を開催し、研究協力者2名の大学教員養成における実践報告を含む、本研究の今年度の成果を全国の教師教育関係者に公開した。 FACEBOOK上に教師教育学研究会のグループページを作成し、随時、最新情報を掲載して、全国に情報を発信している。 その他、ノルウェーにおける夏のヨーロッパ教師教育学会大会に、研究代表者(分担者、研究協力者もそれぞれの研究で合流)の3名が参加し、ヨーロッパの教師教育の最新動向に関する情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は当初計画において以下の通りであった。 日本におけるリアリスティック教師教育(Realistic Teacher Education: 以下RTEと表記)の展開可能性について現場と協働して実践的に研究する。(1) RTEの理念と具体的技法を教師教育(教員養成・教員研修・教師教育者の専門性開発)の現場に導入し、その現状・ニーズに対応したプログラムを研究開発する。(2) 今後のRTEの日本での展開基盤を構築し、教員の質保証と資質向上に寄与する。(3) 教師教育者の専門性開発の概念の普及・啓発を図る。 これに対し、昨年度は、概要に既述したように、順調に全ての計画を進行実施してきた。
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Strategy for Future Research Activity |
① 包括的なプログラム評価とフィードバック:プログラムの対象者を中心とし、周囲の関係者を含めたプログラム評価を行う。本研究は、日本におけるRTEによる教師教育の方法の実践を目指している。したがって、一般的なプログラム評価で採られるプログラム満足度や、人材のコンピテンシー評価というような測定方法よりも、日本の学校現場、教員養成機関における本プログラムの親和性・応用性の高さについて専門家や関係者によるレビュー形式で検討することによる評価方法の確立を目指す。 ② 日本版RTE導入プランの開発:平成25年度の成果に基づき、日本におけるRTEの具体的な展開を構想し、実際に各機関で実施可能なプログラムをまとめる。 ③ 成果のフィードバック、学会発表等を通じた成果の発表:実践状況をまとめ、理論化への検討を加えたうえで、最終年度に向けて学術的な成果を創出する。これらは、学会発表のほか、学術論文や研究成果報告の形で広く発表する予定である。 ④ 国内への実践者ネットワークへの展開 本研究に参加する代表者、分担者、および教師教育学研究会のメンバーを通じて、あるいは学会発表や論文発表などを通じて、国内関係者への情報提供を行う。この情報提供によって企図することは、一般的に情報を提供することのみならず、むしろ、このプログラムを実践していく実践者のためのコミュニティを形成し、そこに積極的に情報を提供していくことにある。これは、以前に代表者が他の分野の海外プログラム導入に際して用いた効果的な方法である。コミュニティを形成し、そのメンバーを中心として国内へ浸透させていくという方法をとることで、実践に直結した浸透を図ることができる。日本の文脈へのカスタマイズ、継続性を担保するためには、実践者間のコミュニティを形成し、相互的に学習するための場(ラーニング・コミュニティ)が必要不可欠である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
開催予定の研究会が次年度になった。 次年度に、開催する研究会の経費として使用する。
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Research Products
(6 results)