2014 Fiscal Year Research-status Report
〈音楽家の耳〉トレーニングと『聴覚』の敏感期の音楽基礎教育プログラム
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25381054
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Research Institution | Elisabeth University of Music |
Principal Investigator |
田中 晴子 エリザベト音楽大学, 音楽学部, 講師 (00573081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 陽子 エリザベト音楽大学, 音楽学部, 講師 (70573103)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 幼児音楽教育 / 聴く活動 / 『聴覚』敏感期 / 〈音楽家の耳〉トレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、幼児期の音楽活動において「聴くこと」を重視し、音楽の流れを捉え、「音楽する」ための基礎教育プログラムを開発することである。 平成26年度は、平成25年度に実施した幼児教育現場でのアンケート、ヒアリング調査で得られた「聴く」ことと「聞く・聞こえる」ことが混同されているという結果を踏まえて、幼児教育現場での現状を調査した。調査は主に「聴く活動」の実践研究を行っている園での様子、保育者とのディスカッションにより行った。このことにより、音楽活動の中心に「歌う」ことと、簡易な楽器を「演奏する」ことがあることを実感した。 「聴く活動」の実践研究としては、平成25年度に引き続き広島市内の私立幼稚園3園で継続している。平成26年度は、平成20年から協力を得ているモンテッソーリ園で6回、平成25年度から協力を得ているモンテッソーリ園で7回、モンテッソーリ園ではない園で11回実践研究を行った。同じく平成25年度から協力を得ている尾道市立幼稚園1園に於いても1回行った。全て映像による記録を撮り分析し、その都度、各園の園児の日常の様子と「聴く活動」の園児の様子について研究対象園の保育者とディスカッションを行っている。このことにより、園児の日常と「聴く」姿勢に何等かの関連があることがわかった。 実践研究で使用する楽曲の選曲についても複数の園で実践研究を行うことによりその方向性が見え始めており、研究を進めている。 またフランスに赴き、パリ12区立音楽院で音楽基礎教育の事例調査・研究、バイエン保育園・幼稚園の見学及び教員との面談、アンリ・ノゲール小学校、マチス小学校での音楽の授業見学及び教員との面談を行い、「聴くこと」を重視する音楽基礎教育のあり方の調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度では、研究協力者の園以外の幼児教育現場で実践研究を行い、研究対象現場の保育者および研究協力者との研修会を2回行う予定であったが、実践研究については、主に広島市内の研究協力園の3園での実践研究にとどまっている。これは、この研究協力園3園であっても各園の違いがあり、現場の保育者とのディスカッションの中から園児の様々な様子を知ることができ、「音楽を聴く」教授法の研究を進める上で貴重な資料と成り得ると判断したためである。また、研究協力者との研修会については、各園で実践研究の実施後、保育者とディスカッションするにとどまり、一同揃っての研修会を行うに至っていないが、今後、各園のスケジュールなどを考慮しながら、計画する予定である。 打楽器教授法については、「聴く」ことを重視する音楽基礎教育の開発を目指すという観点からまずは、「聴く教授法」に重きをおいて研究を進めてきたため、今後、バランスを取りながら進めていく予定である。 尚、「聴く活動」で使用する楽曲の選曲について現時点での研究結果をエリザベト音楽大学研究紀要にて発表し、幼児教育現場における「聴く活動」の実践研究の報告として日本音楽教育学会第45回大会において発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策としては、「聴く活動」の実践研究を継続しつつ、『聴覚』の敏感期における「聴く教授法」の体系化に向けて取り組みを継続する。また、「聴く活動」で使用する楽曲のリストを整え、教材集の作成の着手する。一方で、幼児教育現場の保育者および研究協力者との研修会を実施し、「打楽器教授法」の体系化に向けて、幼児の身体の発達と理解にあった楽器の提供方法の検討に着手する方針である。 また、3年間の研究成果の報告に併せて、海外の音楽基礎教育現場の指導者を招き、「聴くこと」を重視した音楽基礎教育のあり方の特別講演、公開講座を実施する方向で検討する。
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Causes of Carryover |
海外(フランス)での調査・研究に研究分担者も同行する計画で旅費を計上していたが、研究代表者単独での調査・研究でも十分な成果が得られると判断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後実施を計画している幼児教育現場の保育者および研究協力者との研修会あるいは、3年間の研究報告に併せて、海外の音楽基礎教育現場の指導者を招き、「聴くこと」を重視した音楽基礎教育のあり方についての講演、公開講座、また幼児教育現場の保育者および研究協力者とのディスカッションを検討しているため、その招聘旅費として使用予定。
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Research Products
(2 results)