2014 Fiscal Year Research-status Report
カリキュラムの被覆状況に着目したTIMSS理科調査のテスト項目の比較分析
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25381060
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
萩原 康仁 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター 基礎研究部, 総括研究官 (30373187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 憲治 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター 基礎研究部, 総括研究官 (10549372)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教育評価 / カリキュラム / 項目分析 / TIMSS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、TIMSS調査の理科において、分析対象とした異なる国ないしは調査年のそれぞれのカリキュラムによって、テスト項目で問われた事項が被覆されているかどうか異なること等で、統計的にみた各項目の解き易さに違いが生じるかどうかについて検証する。 この年度においては、前年度に発表していた日本と韓国との間の比較とは異なり、調査に使用した言語がいずれも英語である複数の国(オーストラリア・イングランド・シンガポール)間におけるTIMSS2011調査の中学校第2学年の物理・化学領域の比較を行った。この結果、物理・化学の応用領域において、シンガポールの生徒にとって自国のカリキュラムにのみ内容が含まれないとされた項目群では、能力特性の影響を統制した上で相対的に解き難くなるという傾向が見られた。また、物理の知識領域において、オーストラリアの生徒にとって自国の州のカリキュラムでのみ含まれないとされた項目群では、やや解き難くなるという傾向が見られた。これらの結果は前年度に発表していた研究と概ね整合的であり、この関連性が一定程度確かなものであることが示唆された。 また、TIMSS2007調査とTIMSS2011調査の中学校第2学年日本における、生物領域の共通項目の変化を項目母数のずれとして統計的に捉えた。また、この共通項目をトピックによって質的に分類しておき、統計分析の結果と対応させた。その結果、生物領域の「細胞とその機能」のトピックにおいては、平成22年度に中学校第2学年だった生徒の方が平成18年度に同学年だった生徒に比べて、能力特性の水準が同じだとしてもやや解き易い傾向が見られた。この日本の学力の特徴について議論した結果、「細胞とその機能」に関する統計的な分析結果は、内容のつながりの明確化と学習時期の移行といったカリキュラム改訂の効果に関連するものと考察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象国や分析の観点で、研究計画に多少の変更が生じているものの、研究自体には進展が見られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に一部変更があるものの、交付申請書や研究計画調書を基本として進める。 研究計画の変更は以下のようである。すなわち、異なる調査年の間の共通項目における統計的な変化とカリキュラムの違いとの関連の分析において、統計分析は項目単位である一方で、トピックを単位として共通項目群を質的に分類していた。今年度においては、統計分析の段階で、トピックを分析単位としたモデルを構成することを試み、適合度の観点から項目単位の分析モデルと比較する。 一方で、日本語と英語の調査問題(公開問題)の比較については、テキスト分析を導入した比較の試みを中心に行いたい。
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Causes of Carryover |
テキスト分析のソフトウェアにかかる費用が当初見積りより高額であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
テキスト分析のソフトウェアを購入する計画である。また、資料収集等を引き続き行う計画である。
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