2014 Fiscal Year Research-status Report
生涯学習施設の経営診断・評価技法の標準モデルの開発 ―公民館経営診断を中心に―
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25381064
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
原 義彦 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (70284825)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 公民館 / 経営診断 / 生涯学習施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
公民館の経営評価・診断技法の開発に向けた質問紙調査(本調査)と事例に関する調査を行った。質問紙調査では、東北各県の約1200の公民館を対象に、「公民館運営の充実・改善に関する調査」を実施した。回答数は190程度であったが、公民館経営診断のリンケージ作成に必要な、課題・改善を要する事項、改善・整備の手だて、課題が解決された状態の3項目についての具体的事例を収集することができた。例えば、その1つに「職員が出張所との兼務のため、事業が滞る」(課題・改善を要する事項)に対して、「出張所繁忙期には本庁より応援を求める体制を整える」「公金運送業務を業者に委託する」「図書室に指導員を置き、図書業務を分担させる」(改善・整備の手だて)ことにより、「公民館事業の滞りが少なくなった」(課題が解決された状態)という課題解決・改善の事例があった。 また、訪問調査では、岩手県釜石市、同一関市、同山田町、神奈川県相模原市の公民館(計6館)を訪問し、公民館経営の改善に関わる事例の聞き取り調査を行った。ここでは、公民館で行われる地域の会合への参加者の減少や遅刻等が目立ったことから、会議改善への取組とその経緯、それによる効率的な会議運営の実現の経緯等の事例を収集できた。 外国の生涯学習施設の評価・診断の概念、方法論、実践に関する資料収集では、デンマークのフォルケホイスコーレ2校(リュホイスコーレ、ブランディホイスコーレ)、及びフォルケホイスコーレ研究所(FFD)を訪問し、フォルケホイスコーレの全国的な動向と学校評価の取組みについて聞き取りを行った。両学校の評価においても、学校が目指す価値(veardi)の設定が重要であることが理解できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東北6県のすべての公民館(各県教育委員会が把握している公民館)を対象に、公民館の運営改善に関する調査が実施できた。調査内容が各公民館の運営状況と改善事例で自由記述による回答形式であったため、回答率は高くなかったが、多くの具体的な改善事例を収集することができた。これは、今後の経営診断のモデル構築の有効なデータとして活用できると考えている。 一方、デンマークのフォルケホイスコーレの評価に関しては、経営理念、経営目標の設定に重要な意味があることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
東北各県の公民館調査で得られた改善事例をもとに、経営診断のためのリンケージ(案)の作成を試みる。課題・改善を要する事項の分類(診断ラベル)、改善・整備の手だての分類(改善・整備ラベル)、課題が解決された状態(成果ラベル)を設定し、そのリンケージを作成する。さらに、各ラベルを決定するための指標等の検討も必要となる。 さらに、個別のリンケージとともに、生涯学習施設の経営診断・評価が具備すべき条件等を提示したいと考えている。
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Causes of Carryover |
公民館運営の改善に関する訪問調査のうち、九州地方、北海道の事例調査の日程調整を行ったが、年度内には実施できなかったたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、九州、北海道の公民館の訪問調査に加え、研究の1年目に訪問した公民館のその後の経営改善について、再調査を計画している。
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