2014 Fiscal Year Research-status Report
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25381069
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 武男 筑波大学, 人間系, 教授 (40247945)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ベルリン / 道徳教育 / 幼小接続 / 就学前教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の幼児教育の状況を踏まえ、先進的なドイツの幼児教育、特にOECDによって高く評価されている首都ベルリンのものを中心に研究した。 ベルリンでは、2004年に『ベルリン教育要領』(Berliner Bildungsprogramm)が作成され、その後それに則って幼児教育の改善が行われていた。ところが、PISAショックや移民増加や貧困差などの影響によって、現在ではさらなる改革が行われ、教育現場もそれなりの混乱を招くようになった。そのような変化を現地調査で掌握することができた。特に昨今では、5歳小学校入学の問題が新聞やテレビなどで取り上げられ、幼小接続の問題が注目されるようになっているということが判明した。 そうしたベルリンの実態を踏まえ、幼小接続という喫緊の今日的課題に着目しながら、ベルリンにおける就学前教育の特徴、とりわけ広い意味で言うところの道徳教育の特徴の一端を考察した。その際に、2014年4月に発行された、これから小学校に入学してくる児童の保護者に向けて、理解と協力を求めた『新入生の保護者のための案内書』の記述内容を大きな手がかりとした。その結果、道徳教育に関しては、日本のように、「思いやり」や「感謝」などの細分化された道徳的価値を教える、あるいは目覚めさせるという発想はきわめて弱く、それにかわって生涯の人格形成を射程に入れた、準備基礎段階としての、学校における態度や能力の育成の重要視が明らかになった。 なお、公表については、研究成果の一部として、論文集に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度の後半にあたる時期において、中東の治安悪化の影響によって、ヨーロッパの都市部、ドイツの中では首都ベルリンはあまりよくなかった。そのために、その時期に予定していた現地調査を、安全を期して中止した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に実施できなかったベルリンの現地調査を行い、当初から平成27年度の研究実施計画として記していたことを達成する。簡潔に言えば、ベルリンの現地調査と資料分析を行い、幼児期の道徳教育に関する日本とベルリンの比較検討を行うとともに、日本の子どもにふさわしい幼児期の道徳教育プログラムの開発を試みる。 そうした作業を行って、3年間の研究成果を最終的にまとめる。
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Causes of Carryover |
治安悪化の影響によって、ベルリンの現地調査を安全を期して中止したため、旅費や人件費・謝金を使用できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に予定していた現地調査を早急に実施する。
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