2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25381073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
香曽我部 琢 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (00398497)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 転機 / ライフ・ライン・インタビュー・メソッド / SCAT / 省察 / 展望 / 実践コミュニティ / 重要な他者 |
Research Abstract |
本研究では、転機において保育者アイデンティティが変容させ、保育者としての自己を確立していくという仮説を立て、保育者の保育者アイデンティティの獲得に影響を与えるような転機の存在を生涯発達の視点から明らかにするとともに、その転機のプロセスを明らかにすることで、保育者の保育者アイデンティティの変容について検討を行う。 今年度は、時間の経過が伴うインタビュイーの心情の変化を捉えるのに有効である「ライフ・ライン・インタビューメソッド(Life-line Interview Method:LIM)」 を用いることとした。そして、保育者歴30年以上の保育者8名にインタビューを実施言語データをサンプリングした。この言語データを大谷(2008)が提唱するSCAT(Steps for Coding Theorization)を用いて分析を行った。 その結果、転機の要因として3つのカテゴリーと異動との関連性が示され、保育者が転機をi問題認識、ii省察、iii将来の展望、iv困難な状況の発生、v他者との相互作用の活性化、vi他者との実感と展望の共有、以上6つの段階から構成されるプロセスとして認識していることが示された。そして、保育者個人だけでなく、他の保育者と実践コミュニティを形成し、コミュニティが将来の展望を共有することの重要性を示した。 また、分析方法について、当初、テキスト・マイニングと定性データ分析を用いようと考えていたが、これらだけでは保育者の成長に伴って生じる転機の経験の個別・具体的な側面を捉えることが難しいと考え、グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)や複線経路・等至性モデル(TEM)、SCATなどの分析方法について検討を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において示した3段階の内、②転機の事例収集と分析は今年度中に実施しており、学会発表や論文として成果を示すことができた。引き続き、①の基礎的資料の収集と分析については、質問紙の項目を自由記述だけでなく、心理尺度の作成を目的にして、実施することで、さらなる③で示した現職教育における研修プログラムの作成につなげていきたい。また、分析方法については、計画書に記述した分析方法だけでなく、新たな分析方法について質的、量的の量側面から検討を行い、さらに混合法の視点から分析方法の在り方について検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、保育者に対してPAC分析を実施して、保育者の転機における保育実践コミュニティや他者とのかかわりの在り方について、その発展プロセスの実相を明らかにする質問紙調査の実施に向けて取り組んでいる。これまでの成果から、保育者の転機には順序性があることが予測された。そのため、分析方法について計画書で示した、テキストマイニングと定性データ分析による混合法の成果だけでは、研修プログラムにおいて、保育者の成長に応じて現れる個別・具体的な問題に対応できないと考えた。そこで、さらなる精査を行うために、混合法に関する資料を収集し、現在、新たな分析方法としてPOSA(Partial Order Scalogram Analysis;部分尺度分析法)とTEM( Trajectory Equifinality Model)を採用することを検討している。
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Research Products
(6 results)