2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25381076
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
武井 敦史 静岡大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30322209)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 日本的経営 / 場 / 学校組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「場」の概念を核として日本の学校組織運営の特徴を再評価し、そのエッセンスを技法化して、現代の学校で導入可能な手段を開発し、「場を活かした学校経営」のモデルとして再定義することである。 この目的の達成のため(1)文献調査により「場」モデルに関する理論的改題と日本の学校組織の特徴との関連の検討、(2)「場」モデルを生かす学校改善を支援する方策を開発し、アクションリサーチによってその有効性を検証、(3)「場を活かした学校経営」のモデルとして再定義して、日本の組織特性を活かした改善方略として学校の国内外に提案することを具体的課題としている。 こうした課題意識と研究計画に基づき、申請者はデリー大学のリトゥ博士と協働の上、本年8月にデリー大学アディティ校において50名あまりの大学生に対してワークショップのアクションリサーチを実施し、その後同大学において検討会を開催し、その後の可能性を確認した。 その結果は質問紙調査等により評価しているが、これによれば、本研究において開発されたプログラムは①興味4.4、②創造性4.4、③斬新さ4.6、④実践性4.1、⑤目的・説明の明瞭さ4.0、⑥時間活用4.1、(以上5間法)、総合評価で8.5(10間法)と、実施上の工夫に若干課題を残すものの、今後の活用に非常に期待の持てるものであった。 また、同様のワークショップを試行的に静岡大学の大学院生にも実施した。その結果は現在分析中であるが、デリー大学とは異なった回答傾向が示され、今後興味深い分析が期待できると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究二年目の本年度は研究計画においては(1)研修の実施、(2)学会報告、(3)文献による理論研究(昨年度からの継続)(4)国際学会報告の準備、の各分野について研究を推進することとなっていた。 (1)について、研究実績において述べているとおり、すでに国内および海外の大学において、本研究によって開発したプログラムの実施・検証を行い、その結果をより詳細に分析中である。この点については当初の研究計画以上に進展していると考えられる。 (2)については、(1)において一定の研究成果が見込まれることが確認されているものの、本年度は報告に費やす時間的・労力的余裕がなかったことから、2015年度以降の課題として持ち越すこととした。 (3)については、昨年度に引き続き研究をすすめており、新たに20点あまりの文献を収集・検討している。理論研究の成果は、アクションリサーチとは別に研究紀要などで研究成果をかたちにし、本研究の今後の進展の基礎資料としたいと考えている。 (4)について、本年度は上記リトゥ博士との共同研究を企画し準備を推進している。その点では当初の想定以上に広範な展開を見せているものの、先方の渡航費用等の工面に課題があるため、平和中島財団の招聘事業に応募し共同して報告することを計画した(結果は不採択)。この点は平成27年度以降の研究課題とされる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は本研究の最終年度に当たる。本研究は「探索的研究」であり、本年度の成果を踏まえ、来年度以降、さらなる研究成果をうるための準備を行うことが本年度の課題である。本年度次の4つの領域で研究を進める。 第一に昨年度までに本研究において開発しているプログラムのアクションリサーチを継続し、その成果をより多くのサンプルと分析視角から確認することである。上述のように昨年度までに国内外ですでに一定の成果は得られいるが、本年度プログラムの改善を雄なった上で調査を継続することによってより信頼性の高いデータを得て分析を行う。 第二に研究の公表である。本研究のアクションリサーチに関する研究成果を「日本的学校経営の特徴を活かした組織改善ストラテジー」として、国内外の学会において報告を行う。報告を行う学会は現在のところ、学習社会学会の大会等を想定している。また、可能であれば国際的学会における報告等により、より妥当性の高いモデル構築に向けた理論の洗練を行うとともに、学校における日本的経営の再評価を行い、その学術的・実践的意義について課題提起する。さらに年度末までには本研究の成果を確認しさらなる研究の発展のため、平成28 年2 月を目処に研究成果報告書(200 部)を作成し、広く公表を行う。 第三に今後の研究発展への準備である。本研究の成果を土台に、a)研修プログラムや経営技法等、場を活かした学校の経営実践に役立つ手立ての開発、b)より信頼性の高い日本的学校経営の理論構築の両面から研究への参画者を募り、共同研究を企画する。また、この目的のため研究の発展と公表に向け科研費等への応募を行う。
|
Causes of Carryover |
論文の作成が当初計画より遅れ、文献や調査機器の多くを他の資金で購入することができたため、結果として次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度も海外出張が予定されており、正確な予算が読みにくいのに加え、研究成果の公表などにより多くの費用が掛かることが予想されるのでその補填に充てる。
|