2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study of expertise process of preschool teachers:Focusing on creation of clinical judgement
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25381077
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
藤本 松香 (古賀松香) 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (70412418)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 実践知 / 臨床の知 / 熟達化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、保育者のもつ実践知を臨床の知と位置づけ、保育実践の不確実性の中で創出される臨床的判断とその熟達化プロセスを明らかにすることを目的とする。今年度は、昨年度までに収集した初任期、中堅期、熟達期の保育者の実践観察記録及びインタビュー記録を、「保育における臨床の知」の構成原理試案(古賀, 2016)に基づき、分析した。また、その際、ヴァンマーネン(1991)の教育的瞬間(pedagogical moment)を手掛かりとした。 その結果、保育者は、「保育における臨床の知」の3つの構成概念:コスモロジー、シンボリズム、パフォーマンスを組み合わせながら、動的な保育実践の文脈の中で、教育的瞬間を捉え、具体的な援助を行っていた。特に、シンボリズム:子どもと保育者の間で浮かび上がってくる意味を感知し、子どもにとっての意味にアプローチするだけでなく、多様な意味の交流や新たな意味との出会いを創出する知と、パフォーマンス:相手と自己を取り巻く環境からの働きかけを身体に受けつつ相互作用する、人間の身体性を帯びた行為については、中堅期および熟達期の保育者の実践において特徴的な語りや実践行為がみられた。中堅期以上の保育者で見られたシンボリズムは、関わりの対象である子どもの教育課題に基づいて、子どもが発してくる行為の意味を、他者との交流へ向けた肯定的な意味づけへ転換していく特徴があった。また、パフォーマンスにおいては、中堅以上の保育者は自覚的に視線と身体の動きをコントロールしたり、身体的な応答を積極的に用いたりしており、そのことで子どもの主体的な行動が促されていた。こういったシンボリズムとパフォーマンスの知を駆使し、中堅期以上の保育者は、子どもが主体的に自己発揮しながら集団の中で位置づいていくような援助を行っていることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)