2015 Fiscal Year Annual Research Report
学校経営における目標概念群の構成と機能に関する組織論的研究
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25381081
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
曽余田 浩史 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60253043)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 学校経営の目標概念群 / 学習する組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではまず「学習する組織」の目標概念群の特徴を理論的に明らかにした。目標概念群は、組織の頂点・到達地点に位置するものではなく組織の自己更新力を高めるための道具であり、固定的なものではなく常に作り続けている途中であり、設定した目標の達成という短期的な有効性よりも自らの未来を創造する能力(自己更新力)を高める長期的な有効性を重視する。それは日々の実践の中で立ち返るべき準拠点でありつつ、実践を通してその意味や価値自体を常に問い直し深め成長させていくべきものである。次いで、4つの小・中学校の経営計画や学校評価表の作り直し(目標概念群の再構築)に関する事例研究を行い、「学習する組織」として目標概念群を構成し機能させる際に必要な思考様式を考察した(最終年度)。「学習する組織」への動きを阻害する思考様式は、ものごとを領域で要素分解的に分類して組み立てる「枠でものごとを捉える」である。具体的には、1)目標概念群を領域的(知・徳・体、校務分掌、教育と経営、等)に捉えてその中でどうするかと考える。2) 要素分解した各目標を達成した結果を加算することで学校づくりを評価する。3) 教育目標(作物づくり)と経営目標(土壌づくり)の構造を崩して、教育目標の達成を直接目指そうとする。これに対し、「学習する組織」として目標概念群を機能させる思考様式は、内的連続性を重視し、領域に囚われずに組織の成長・成熟の動きを軸として捉えていく「軸でものごとを捉える」である。学校の現状の動きの中に学校づくりの軸となる価値を見出し、諸活動が繋がりあっていると全体論的に捉える。その軸となる価値にこだわって諸活動を行い、活動の中で「今やっていることが何につながるのか、次につながるどんな価値を見出していくのか」を問う。それにより、諸活動が断片化せず全体性を保って行われ、学校づくりの成熟を反映した目標概念群の成長が可能となる。
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Remarks |
曽余田浩史「学校経営における目標概念群の構成と機能に関する組織論的研究」(最終報告書)平成28年3月31日、全93頁。
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