2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25381086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
高橋 寛人 横浜市立大学, その他の研究科, 教授 (10188047)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 教育職員免許法 / CIE / 玖村敏雄 / カーレー / 教員養成 / 戦後教育改革 / 占領下の教育改革 |
Research Abstract |
資料の調査・収集・分析状況は以下の通りである。第1に、GHQ/SCAP CIE Records の中から本研究テーマに関わる主要文書を収集し、検討した。第2に、日本側の第一次資料(国立教育政策研究所所蔵『戦後教育資料』、大学基準協会所蔵資料など)を調査・分析した。第3に、教師教育・教員養成・教員免許制度・戦後教育改革等に関する日米の関連論文・文献を複写して収集した。 これらの資料の検討によって、従来の研究とあわせて以下のことが明らかになった。 従来の研究では、1947年10月3日の教育刷新委員会(教刷委)第41回総会での「教員養成に関すること(其の二)」の建議採択までの経緯は明らかにされていた。教育刷新委員会第8特別委員会で教員養成・教員資格の改革について議論されたので、教刷委の議事録の分析によりその間の経緯が解明されてきたのである。しかし、CIEも文部省も教刷委の教員養成改革の方向に反対であったため、第八特別委員会は、9月26日の第13回会合を最後に開催されることはなかった。その後、文部省学校教育局内に検討委員会が作られた。同研究委員会のメンバーは、CIEと折衝しながら改革策を検討、12月15日に「教員養成制度刷新要綱案」をまとめた。その後1947年末、文部省が免許法に関する草案を作成、1月以降、CIEと文部省の間で教員の資格要件について検討が進められる。また、師範学校の再編成や国立大学の地方移管との関係で師範学校の県立移管も問題となった。1948年3月に大学基準協会に教員養成基準分科会が設けられ、3月10・11日に「新制大学における教職的教養基準設定に関する提案」をまとめた。しかし、その後同分科会は目立った活動をしていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書の「研究計画・方法」欄に平成25年度の研究計画として記載した以下の作業はほぼ予定通り行った。 ①GHQ/SCAP CIE Records の中から、本研究テーマに関わる主要文書を収集分析する。②占領下に文部省で師範教育課長・教職員養成課長をつとめた玖村敏雄の文書(山口県立図書館所蔵)を検討する。③日本側の第一次資料(国立教育政策研究所所蔵『戦後教育資料』、大学基準協会所蔵資料など)を検討する。④教師教育・教員養成・教員免許制度・戦後教育改革等に関する日米の関連論文・文献を複写して収集する。 しかし、昨年度、教育委員会制度の改革が政府の具体的な政策課題となった。教育委員会制度には申請者の研究課題のひとつであり、また、申請者は日本教育行政学会の常任理事・研究推進委員長を10月まで務めていたため、教育委員会制度をめぐる学会の取り組みに時間を費やした。そこで、本研究に関する資料の検討が予定よりも若干遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の作業として、第1に、これまでに収集した日米の文書を検討する。さらに関連資料の収集をすすめる。 第2に、広島・東京文理科大学の改革や旧帝国大学における教育学部の設置事情を検討するために、関連の文献・資料を収集する。第3に、戦前・戦中の教員資格制度・教師教育に関する先行研究を検討する。また、福岡県、大阪府、秋田県などの師範学校に関する実証的な歴史をまとめた研究書に基づいて、関連CIE文書を併せて検討することにより、占領下における師範学校の改革動向を具体的に明らかにする。 CIE教師教育担当官のカーレー、文部省師範教育課長の玖村敏雄、東京第一師範学校校長の木下一雄がとくに大きな役割を果たしたことが明らかとなっているので、この3者に特に注目する。以上を踏まえて、占領下の教員資格・免許制度改革のプロセスとダイナミズムについて、先行研究になかった知見が得られるはずであるから、それを整理する。また、先行研究の説明の枠組みとは異なる枠組みの提示を試みる。そして、研究成果の一部について、関連学会で口頭発表を行う。また、大学の紀要もしくは学会誌に論文を投稿する。 大学基準協会において教員免許状取得要件に関わる基準がいかに作成されたか、主としてCIE文書を通じて明らかにする。そして、教育職員免許法・同法施行規則によって、新制大学の教職教育にいかなる科目がどのような理由で取り入れられたのかを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入必要なものの金額が残額274円より高額であったため。 次年度の経費と合わせて有効に使用する計画である。
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