2014 Fiscal Year Research-status Report
自然災害に起因する学校事故に対する賠償責任の在り方
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25381094
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
坂田 仰 日本女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70287811)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学校事故 / 安全配慮義務 / 危機管理 / 損害賠償 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,自然災害に起因する学校事故に関して,教育委員会関係者,学校管理職を対象とする調査を通じて,児童・生徒に対する法的責任について,その現状と課題を明らかにすることに主たる目的が存在する。 研究二年目にあたる本年度は,小中学校の教頭・副校長,教務主任に焦点をあて,危機管理,学校事故,法的責任に関する意識調査を実施した。 調査の結果最も問題と考えられる点は,ほぼすべての学校で,学校保健安全法に基づく危険等発生時対処要領(いわゆる危機管理マニュアル)が形式上は整備されているものの,それを読んだことがないと答えた教頭・副校長,教務主任が少数ながら存在したことである。この危険等発生時対処要領の不読は,東日本大震災送迎バス事故損害賠償訴訟(日和幼稚園事件)においても問題点として指摘された事項であり,危機管理の在り方を考える上で,極めて重要な点と考えられる。 第二に,学校事故発生に関わる設置者,教員の法的責任に関する理解の不足が挙げられる。その要と言える「安全配慮義務」という言葉を「聞いたことがない」と回答した教頭・副校長,教務主任が一定数存在していることは,危機管理の上で問題があると指摘できよう。特に,2014(平成26)年度には,大阪高等裁判所判決平成27年1月22日等,学校事故における学校設置者・教員の安全配慮義務に関して裁判例の新たな蓄積が見られたことから,この方面の研修等が不可欠な状況にあると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学校事故に関わる裁判例の蓄積が進んでいる。 学校保健安全法,災害共済付給付制度に関する分析を進め,その研究成果の一部を公表することができた。 また,教頭・副校長,教務主任を対象として,学校事故,救急救命,法的責任,災害発生後の情報収集とリスク評価等に関して意識調査を実施し,その分析を通じて一定の問題点を抽出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度にあたる次年度は,本年度に実施した意識調査を,校長,若手教員,養護教諭,学校事務職員等にまで拡大し,その認識の差異を分析・検討する予定である。 また,これまで収集した裁判例を分類,分析すると共に,新たな裁判例を追加した上で,学校種毎の傾向を抽出し,危機管理上,必須となる対応を同定する作業を行うことを考えている。
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Causes of Carryover |
危機管理,学校事故,法的責任に関する教職員の意識調査に関して,調査依頼先の確定並びに調整作業に手間取り,本年度は,教頭・副校長,教務主任に対して小規模で実施するだけに止まった。この点が,次年度使用額が生じた最大の理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
危機管理,学校事故,法的責任に関する教職員の意識調査に関して,校長,若手教員,養護教諭,学校事務職員等に対して実施する予定である。また,今年度実施した教頭・副校長,教務主任を対象とした意識調査に関しても,規模を拡大し,他の自治体でも実施する予定で調整を進めている。
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